自覚症状出て手術勧められる

 35歳のときに甲状腺の異常が分かっても、自覚症状はなく、年に何回か血液や超音波の検査をしました。

 「腫瘍はちょっとずつ大きくなると説明されていました。細胞診だけでは、がんかどうか分からないので、影や大きくなりかた、石灰化しているかなど様子を見ると。悪いものかどうかは、腫瘍を取り出して見てみないと判断できないそうです」

 数年前、右側の甲状腺の目立つ腫瘍が3センチになっていました。左の腫瘍も大きくなっていました。息苦しく、飲み込みづらいという症状も出て、「そろそろ手術をしては、と病院で勧められたので何歳までにと聞いたら、『全身麻酔ができる70歳まで』と言われました。まだ大丈夫かな、考えますと答えました」。

思いがけず妊娠、すぐ専門病院へ

 リエさんは44歳のときに妊娠しました。夫とは「子どもはいなくてもいい」と話していました。夫婦ともおいっ子がいるから、責任もなく「おばあちゃんってこんな感じかな」とかわいがっていました。

 妊娠が分かってびっくりし、すぐに甲状腺の病院に行きました。「同じ薬を飲み続けても問題はなく、ただホルモンの値が高くなると赤ちゃんに影響するというので、妊娠中はこまめに検査しました」

 出産は、逆子だったので帝王切開でした。体が動かせないうちは、夫の母が泊まって食事や洗濯、息子の世話をしてくれました。「夜中の授乳は、眠いけれど仕事で徹夜も慣れていたので苦になりませんでしたね」

 産後3カ月ぐらいのとき、甲状腺の病院に行きました。

 「左の腫瘍が大きいから細胞診をすると、悪性の疑いがありました。『2か月後に手術しましょう、右も取りましょう』と言われ、右は良性なのになんで?と疑問に思いました」

 リエさんは病院の対応に納得できなかったので、4月に育児休暇から仕事に復帰した後、セカンドオピニオンとサードオピニオンを取りに行きました。

 結果は、「希望があれば右の甲状腺は残す。でも改めて右側を取る手術をすると難易度が上がる」との説明。病院を変えて検査のたびに意見を聞き、ついに両方の甲状腺を手術して取る決断をしたのです。

手術をきっかけに子どもは卒乳した
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