ツレがうつになって前向き思考に

 細川さんは投稿を続けて漫画雑誌の賞をとり、27歳でデビュー。「受賞作は雑誌の読者アンケートで最下位でした。でも、その漫画雑誌の編集者がいい人で、『短編をやったら』と勧められ、描かせてもらえるなら何でもと取り組み、毎回4ページを季刊誌に載せてもらいました。その他、つてをたどってあちこちに原稿の持ち込みもしました」

 夫の昭さんは1999年、IT企業に就職しました。バリバリ働いていましたが、リストラのあおりで仕事を抱え込んでうつ病に。細川さんは、眠れない、起き上がれない、死にたいという昭さんを支え、それまでのマイナス思考をやめました。「もっと前に出なきゃ」と仕事にも真剣になり、営業して広告に使うイラストの仕事などオーダーも受けました。

 昭さんは良くなったり悪くなったり、3年かけて暗闇を抜けました。細川さんは編集者に「家族がうつになったらどうなるか、関心のある人は多いと思うんです」と持ちかけ、すぐに一部を描いてファクスで送り、会議で採用されました。2006年に出版した『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)は、ユーモアある構成でうつ病の状況がよく分かり、読みやすいコミックエッセイという形が受けてベストセラーに。「ツレうつ」は文庫にもなり、映画化・テレビ化もされました。

ベストセラーになった『ツレがうつになりまして。』(左)以降、『びっくり妊娠 なんとか出産』(小学館、右)など、様々なジャンルのコミックエッセイを出版し続けている

 筆者は新聞記者だった頃、医療の取材をする中で『ツレうつ』を知り、何度か細川さん夫妻の記事を書きました。昭さんのうつ病が改善した後の結婚12年目、細川さんが37歳のときに妊娠が分かったと聞き、筆者もびっくり。細川さんは出産・子育ての体験や「主夫」になった昭さんの奮闘ぶりもコミックエッセイにしています。筆者が高齢出産する際は、「体力がきついけど頑張りましょう」という細川さんの言葉に励まされました。