人生100年と言われる時代、元気に過ごせる時間を増やすための体操も注目されています。介護予防の運動を指導する板橋雅子さん(53)は、スポーツクラブで活躍していたころ、病気になって思うように動けなくなり、高齢者向けの健康体操を始めました。「長谷工シニアホールディングス」の高齢者住宅などで独自の体操を広め、昨年はロボットが指導を補助するアプリの開発にも関わりました。

 <前編記事> 病気で不自由、高齢者の気持ちが分かるように

元気のヒント高齢者に聞いた

 高齢者向けの体操を始めたころは、どうしたらいいか分からなかったという長谷工シニアホールディングスの板橋雅子さん(53)。一番の先生は、高齢者でした。元気の秘訣を聞いて回り、介護予防の「ゆうゆう体操」を作り上げました。

 体操の目的は自立支援です。自立しているというのは、①食事を自分で食べられる②自分で体を洗える③排せつできる④着替えができる⑤杖などを使っても移動ができる、ということです。この5つを余裕を持ってできるようにするのが、ゆうゆう体操です。

意識して動かすと効果アップ

 体操は座ったままできて、準備運動から始まり、肩上げや腕回し、上体の前倒しなど簡単な動きです。タオルや新聞を丸めて作った棒も使います。何のためにこの動きをするのか、なぜするのか、意識して動かすことで、効果が全く違うといいます。

 「もっと上げよう、あと何センチ、と声をかけると驚くほど上がります。眠っていた筋肉に働きかけてたくさん動かすと、血流が良くなって、動きも良くなるんです」と板橋さん。

 「それを実感してもらうこと。ある所に意識をして動かすと、別の所が動いたりするんです。車いすの方が、手を動かしていたら足も動いたり。体が傾いたり、ゆがんだりしてしまっているのも意味がある。体はバランスを取っています」

 説明も工夫するようになりました。「『無理しない範囲で動かしてください』ではなく、『やさしくいたわりながら動かしてください』と言ったら、息を止めて一生懸命やっていた人が変わったんです」。「人生で負担をかけてきたところをいたわりましょう」と声をかけると、「その場所が温かくなった、私は無理をしていたのね」と言われました。体を動かそうというモチベーションになったようです。