医師家系に生まれ動物に励まされた幼少期

 友子さんは、愛知県で医師の両親の元に生まれました。母の泰世さんは江戸時代から続く医師の家系に生まれ、86歳の今も診療に当たります。友子さんが3歳の時、父の留学で米国へ。母は2年間、専業主婦となり、医師として活躍できないもどかしさを感じたと後に聞かされました。

 帰国し、母は眼科を開業。日本語が上手に話せなくなっていた友子さんは保育園を嫌がり、電信柱にしがみついて泣きました。友子さんは小学校も好きになれず、「鍵っ子で暗い性格」だったそうです。

 そんな友子さんの心の支えは、飼い犬でした。病気になっても、両親が諦めず助け、家族が交代で世話をしました。そして小学校5~6年生の担任の先生が、引っ込み思案だった性格を変えてくれました。競争心を引き出すのが上手で、乗せられて積極的になりました。その先生に憧れ、小学校の先生になりたいと思いました。

 高校生のときに新たな出会いがありました。捨てられていた猫を拾い、獣医を探して受診。昼間は学校に連れていき、用務員や図書館司書が見てくれて、帰りは獣医に寄りました。獣医師は「君のネコになったら、治療費を払えばいい」と言ってくれました。ネコの目が悪かったので母に見せ、飼い主が見つかるまでの約束で世話しました。

 家にはすでにペットがいて、もう飼えない。探しても飼い主は見つからず、ネコは成長できず死んでしまいました。「申し訳ない、治してあげられなくて」と言う優しい先生に憧れ、「私も獣医になりたい」と伝えると、「お母さんみたいに人間の医師になって、いろいろ教えてよ」と言われました。

医学部でくじけると母が活、介助犬に出会う

 友子さんは、「動物に関わる仕事を」という夢を持ちつつ、愛知医科大へ進学。「迷って、考えて進んだ道なのに学生生活はすごく嫌でした。親に言われて入ったという同級生が多く、当時の私はなんてやる気がないのと思っていました。そういう私の考えは狭かった。今はみんな、いい医師になっている。親の背中を見て、患者さん第一の価値観が身に付いていたんでしょうね」