「ママだから」「ママが忙しいから」と我慢してほしくない

 今は事業を軌道に乗せるために、宣伝活動を積極的に行っているといいます。

 「駅前でチラシを配布していると、『こういう施設を求めていた』『小学生になったら利用させてください』と言ってくださるママたちもいます。地域のママたちの憩いの場になればという思いもあり、ママ向けに参加無料のワークショップやランチ会などを開催して施設紹介もしています。顔が見えてお話を聞かせてもらえるのでとても勉強になります」

 「実際に利用した親子の声が一番の励み」と山田さんは言います。

 「子どもたちが楽しかった、と言ってくれるのがうれしいです。ママが『ママだから』と我慢するのも嫌だし、子どもが『ママが忙しいから』我慢するのも嫌。親子ともども我慢することがないような楽しい毎日になればいい、というのが願いです

 「まだまだやりたいことはたくさんあります。KIDS’HOME CAFETERIAはレストランではなく、川崎市の子ども食堂準拠というカテゴリーで、設備の条件としては始めやすい仕組みなので、同じような悩みを抱えている人のためにも、色々な場所でやりたいと思っています。併せて、お昼の時間帯は空いているので、高齢者のための場所にしたいとも考えています

 地元で行っている勉強会などに参加しながら、地元のつながりを広げていきたいそう。

 「勉強会に行くと、地域で精力的に活動されているママ、大学生、働いている方がたくさんいて非常に感銘を受けています。会社員時代は、川崎はネガティブな要素がたくさんあり、ネガティブを全部無くしてポジティブにしようと思っていました。けれど、地域の人の話を聞いていると、ネガティブな要素も川崎らしいというか。これまでの歴史があって今の川崎になっているので、ネガティブな要素はそのままで、それをポジティブに楽しむほうが川崎らしくていいんだろうなと思うようになりました」

 「例えば、公園に行くとちょっと悪そうなお兄ちゃん・お姉ちゃんがいて、前は『ダメダメ!』って思っていたんです。でも実は、川崎区はヒップホップやラップが根付いていて、そういう子のなかからスターが生まれたらいいし、地元の文化を子どもたちが誇れるような町になればいい。まずは働くママと地域をつなげて、より活性化できるといいなと思っています

「まずは働くママと地域をつなげて、より活性化できるといいなと思っています」と山田さん
「まずは働くママと地域をつなげて、より活性化できるといいなと思っています」と山田さん