「がんを抱えながら、生きがいを持って仕事する人もいる」

 山崎さんは、関わっていた女性誌『STORY』の担当者に闘病記を書きたいと申し出て、40代の読者にこうしたメッセージを伝えました。スキンヘッドできれいにメイクしている山崎さんの写真が掲載され、評判に。筆者も10年ほど前に山崎さんと出会い、記事で紹介してきました。山崎さんの「がん患者のキレイ」とおしゃれを応援する、というアイデアが斬新で分かりやすかったからです。

 仕事は治療中から、無理なく続けていました。「フリーランスだったので仕事を減らせました。もし会社員だったら通勤がしんどかったと思います。やめざるを得ない人もいるし、経済的にやめられず這いつくばって続ける人もいる。夫と2人暮らしの私は、しんどい日は休めて幸運でした。周りの人にも甘えると決めていました」と山崎さん。

 病気を経て美容の仕事は減ったものの、がんに関する仕事が増え、幅が広がったそうです。「ボランティアのような仕事も多いですが、色々な経験ができる。がんになって、人生って短い、やりたいことをやらないと後悔すると痛感しました。情報発信や美容のことを、みんなを救うという高いレベルでなく、自分のできる範囲でやろうと思ってきました

 そして今も感じるのは、がんに対する偏見が社会にあるということ。「私もがんになる前は偏見を持っていました。がんを抱えながら、生きがいを持って仕事する人もいます。人ごとと思わず、みんなで共存するようになってほしいですね」

 後編は、被災地での活動や患者の支援について紹介します。

モデルのマイコさん、湘南ベルマーレの久光重貴選手とがん体験を語る山崎さん(今年2月のラベンダーリングで、なかのかおり撮影)
モデルのマイコさん、湘南ベルマーレの久光重貴選手とがん体験を語る山崎さん(今年2月のラベンダーリングで、なかのかおり撮影)

(取材・文/なかのかおり)