大人も子どもも、同じものを食べて調理の手間を一度で済ます

80のレシピが掲載された『SAMEN ETEN』。著者はイタリア人だが、オランダでも好評を得ているレシピ本。
80のレシピが掲載された『SAMEN ETEN』。著者はイタリア人だが、オランダでも好評を得ているレシピ本。

 その意外な場所とは、図書館の育児書コーナー。育児書コーナーの一角に離乳食に関する本が数冊並んでいたのだが、その中に上の画像の本を発見したのだ。

 『SAMEN ETEN』というそのタイトルは、日本語にすると「一緒に食べる」というような意味になる。つまり生後8カ月を過ぎた乳児の食事と、大人の食べるものを同じものにして、調理の手間を省いていこうというわけだ。そのスタンスでいれば、わざわざ「移行食」を準備しなくても(購入しなくても)いいということになる。

「スープ鍋にスプーンが立つくらい濃厚に煮詰める」といわれるエルテンスープ
「スープ鍋にスプーンが立つくらい濃厚に煮詰める」といわれるエルテンスープ

 さらに思い返してみると、オランダの一般的な家庭料理は素材をやわらかくする煮込み系が多く、子どもが食べてもそれほど違和感がないということに思い至った。ちなみに上の画像は、エンドウ豆や野菜を煮込んだ「エルテンスープ」。日本人が想像する「スープ」の食感よりはかなり濃く、舌にざらつきの残る「食べるスープ」といった趣だ。これなら、具材のソーセージ以外は乳児でも問題なく一緒に食べられるだろう。

 オランダでは、乳児期の離乳食から通常食に移行するまでに、それほどストレスを感じなくてもよいのだということがよく分かる。これもおおらかに離乳食に向き合える一因ではないだろうか。

 さらに個人主義の国オランダの親たちは、離乳食への向き合い方も人それぞれ。筆者の周りのオランダ人たちがどのようなスタンスで離乳食に向き合っていたかご紹介したい。