チョコレート
過剰な糖分や乳歯への影響などを考慮し、日本では乳児に与えるのは避けられがちなチョコレート。けれどカカオ豆輸入量が多い甘党の国オランダは、チョコレートにも非常におおらかだ。生後6カ月以降のパンを食べられるようになった子どもに、親がチョコレートペーストを塗ったパンを与えている光景も決して珍しくはない。
個人主義の国らしく、オランダでは親の判断で、乳児期の子どもにかなり自由に食材を与えることが一般的だ。それをとがめる人もいないという。
では次に、オランダではどのような既製品の離乳食が販売されているのか見てみよう。
スーパーに並ぶ市販の離乳食
これは、オランダの一般的なスーパーの離乳食売り場の様子。様々なメーカーの離乳食が、広いスペースに所狭しと並べられている。
「パプ」という、粉ミルクで溶いて食べるオートミールのような離乳食も、オランダでは6カ月以上の乳児によく与えられている。
けれど何といっても多用されるのは、様々な野菜や果物がミックスされた瓶入りのペースト。中には牛肉ペーストが入ったものもあり、ビタミンからタンパク質まで栄養バランスもしっかり考慮されている。余談だが、オランダ人の大人にも、こういった離乳食ペーストのおいしさのとりこになった隠れファンがいるという。
この離乳食の売り場を眺めた筆者は、あることに気が付いた。現在9歳の筆者の娘が1歳の後半だったときに愛用していた、離乳食と幼児食の中間のような「移行食」が販売されていないのだ。当時は北アフリカで子育て中だった筆者は、周囲に気軽に離乳食のアドバイスを求められる組織もなく、ひたすら日本で購入した離乳食ガイドブックを読み込んでいた。そして日本に一時帰国した際は、山ほどレトルトの「移行食」を購入したものだった。実際、飛行機の長距離フライトなどではそのレトルトパックが非常に役立ち、子どもも好んで食べていた。オランダの売り場にはその移行食がなく、棚のほとんどのスペースを占めるのが瓶詰のペーストなのだ。厳密には「生後15カ月以上の子ども向け」という瓶も一部あったが、筆者から見るとまだドロドロのペーストに近い状態だった。
これは一体どういうことなのか。筆者は、意外な場所でその答えに出合うことになる。