例えば、カナダには、秀でた才能があると思われる生徒を教育現場で早期に見つけ、その才能を伸ばしていく「ギフティッド・プログラム(Gifted Program)」があります。また、スペシャル・エデュケーション・プログラムと呼ばれる芸術や音楽、演劇などアートの分野を集中的に学んだり、デザイン思考で数学や理科を学んだりする学校、また、国際バカロレア教育に沿った学校など、特定分野にフォーカスした教育プログラムを提供する学校もあります。しかも、これらは、すべて公立校で行われている、ということが驚きです。

多くの生徒が卒業までに、何らかの賞をもらう

 当然のことながら、すべての子どもが学業面で際立った強みを持つわけではありません。しかし、子どもには学業以外でも、性格や行動面での強みがあります。その強みを、先生や仲間たちが認め、伸ばしていくという試みとして、キャラクター・アッセンブリー(Character Assembly)という全校集会があります。

キャラクター・アッセンブリーでもらう賞状
キャラクター・アッセンブリーでもらう賞状

 キャラクター・アッセンブリーとは生徒の性格や個性の良いところを学期ごとに、全校生徒の前で評価する集まりです。子どもを表彰する項目は、Fairness, Caring, Respect, Responsibilityなど複数にわたり、必ず、ではありませんが、多くの生徒が卒業までに、何らかの賞をもらいます。当日は親も体育館に集まり、先生に名前を呼ばれた生徒が登壇。誇らしげに賞状をもらい、記念撮影。その写真や表彰状を、自宅に持ち帰り、部屋の目立つところに飾ることで、子どものモチベーションが上がり、家族としても自慢の子どもとなります。この仕組みのポイントは、誰かと順位を競って獲得するわけではなく、本人の努力や個性を評価しているところにあり、自分を受け入れてくれている、自分は常に見守られている、という感じが、子どもの自信につながっていることと思います。

家庭生活がすべての中心であるという価値観が浸透

 ここでカナダ人の家庭での子育てについても書いてみたいと思います。

 カナダでは、仕事は9時から17時までの勤務が一般的で、基本的に残業はありません。17時になると、親は真っすぐに家に帰り、子どもと一緒に夕食を食べ、勉強を見て、お風呂に入れ、そして就寝させる、というのが一般的な流れになります。子どもがクラブ活動をする年齢になると、子どもが一人で行動してはいけないカナダでは、クラブ活動への送り迎えも親の重要な務めとなります。

次男のサッカークラブにて。親がボランティアでコーチを務めています
次男のサッカークラブにて。親がボランティアでコーチを務めています