お国柄がにじみ出る世界の子育て事情を、各地に住むライターのリレーでリポートしていくこの連載。今回はルーマニアの子育てについて、現地に住む石川寛久さんに伝えてもらいます。

 東欧の国・ルーマニアは、男尊女卑の古い考えを持つ男性がいまだ多い印象を受けるが、社会進出における男女の差はあまり感じない。

 多くの女性がキャリア形成したいと望んでいる通り、ルーマニアに進出した世界的企業の責任者を女性が担うなど、社会で活躍する能力やエネルギーは男性よりもむしろ旺盛といえる。

 それは結婚して妊娠・出産を終えても変わることはない。ルーマニアでは専業主婦になる女性はわずか。妊娠・出産を終えて数年経てば社会復帰するのは当然で、子どもがいても夫婦共働きの家庭が圧倒的に多いのも特徴的だ。

ルーマニア人女性も絶賛する産休・育休制度

 現在妊娠中のプレママ・ワナさんや幼稚園に通う子どもを持つダナさんにルーマニアの子育てについて話を聞いたところ「ルーマニアは産休と育休の制度がしっかりとしているところが素晴らしいと思う」と誇らしげに話してくれた。

 ルーマニアで自国のことを良い国だと思っている人は多くない。世間話をしていても国に対する文句を言う人が多いため、産休・育休制度についてもてっきり文句が出るものだろうと覚悟していた。ところが、2人の女性から出てきた言葉は「素晴らしい」とのほめ言葉・・・なんだかこれには私も拍子抜けしてしまった。

 話を聞いてみると確かにルーマニアの産休・育休制度は充実しているといえる。国に対して文句の多いルーマニア人が「産休・育休制度はこの国で唯一素晴らしい制度」と揶揄する気持ちも分かる気がした。

国に対して文句の多いルーマニア人が「産休・育休制度はこの国で唯一素晴らしい制度」と言うほど、ルーマニアの産休・育休は充実している
国に対して文句の多いルーマニア人が「産休・育休制度はこの国で唯一素晴らしい制度」と言うほど、ルーマニアの産休・育休は充実している