「笑っているパパ」を増やそうと活動を続けてきたNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(FJ)の代表として全国を飛び回り、数多くの新米パパ&ママのための両親学級をはじめ、イクボスセミナーなど、数々の講演をこなしてきた安藤哲也さんが、『「仕事も家庭も」世代の新・人生戦略 「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』を上梓した。「仕事も家庭もうまく回したい!」と思うパパに向けて、人生戦略の組み立て方やそのコツ、考え方などについてお伺いするこの連載。最終回となる第6回は、地域活動での戦略についてお伺いしました。

地域活動はワンダーランド

── FJでは、地域での活動も積極的にしていくパパのことを「イキメン」と呼んでいますが、自分の家庭の子育て・家事だけでなく、地域での活動も考えていくのがいいのでしょうか?

 子どもがまだ保育園に通っている間は、地域というより、その保育園を中心とした活動がメーンになりますが、小学生になると、同級生の数も増えますし、学童の友達も異年齢で増えます。子どもの交友関係も行動範囲も一気に広がって、親同士の付き合いも大幅に広がることになります。

 繰り返しますが、人生戦略というのは、中長期計画として考えたほうがいい。いつか、子育て中のパパも定年退職する日が来るのですが、そのときに、地域にパパ友として長い付き合いをしてきた仲間がいるといいですよね。さらに、震災など有事のときでも地域で助け合う関係が築けます。地域で活動するイキメンになれば、メリットは本当にたくさんあると言えます。

 子どもが小学校に入学すると、PTAの活動があります。ここで活動するのが、実は、イキメンになるための簡単な入口になっているのに、多くのパパはPTAをママに押しつけてしまいがちです。せっかく、寄せ鍋型ワークライフバランスがおいしくなる具材、つまり、自分の人生を楽しむためのいい機会が転がっているというのに、それを自ら捨てているようなものです。地域活動というのは、パパにとってのワンダーランドであり、宝島だと僕は思っています。

 せっかく子どもが小学生になって、地域に入っていけるプレミアムチケットを持っているのに、PTA会員にはママの名前ばかり。パパだって親だしPTAの会員なのだから、積極的に参加したほうがいいと思います。また、パパの場合でしたら、「おやじの会」がある学校も多いと思うので、そこを入口に地域活動に関わるようにするのもいいと思います。

地域活動で経験する“斜めの関係”

── 地域活動をすることは、地域で子育てするということでもあると思いますが、子育ての面で好影響もあるのでしょうか?

 何と言っても子育てそのものをより楽しめるということでしょう。例えば、個別の家庭でキャンプに行くよりも、何家族かで行ったほうが楽しいですし、子どもは子ども同士で遊ぶほうが楽しい。そこで、ママはママ友と、パパはパパ友とビールでも飲みながら普段のストレスを発散すればいいわけです。あるいは、子育てに関して悩み相談みたいなこともできます。それは、キャンプでなくても何かイベントでもいい。そうやって子育て中の家族が集まることによって、子育てを楽にするというメリットがあります。

 さらに、数家族で集まって何かをするというのは、子どもの成長にとっても大事です。今の子どもたちの多くは、自分の親と学校の先生くらいしか大人と触れ合う機会がありません。これからのダイバーシティー=多様性が求められる時代を生きていくには、小学生のころになるべくたくさんの大人に出会える機会をつくってあげるべきだと思います。