「笑っているパパ」を増やそうと活動を続けてきたNPO法人「ファザーリング・ジャパン」(FJ)の代表として全国を飛び回り、数多くの新米パパ&ママのための両親学級をはじめ、イクボスセミナーなど、数々の講演をこなしてきた安藤哲也さんが、『「仕事も家庭も」世代の新・人生戦略 「パパは大変」が「面白い!」に変わる本』を上梓した。「仕事も家庭もうまく回したい!」と思うパパに向けて、人生戦略の組み立て方やそのコツ、考え方などについてお伺いするこの連載。第5回目は前回に続き、職場&仕事の戦略についてお伺いしました。

仕事効率化は人生を楽しむことから考えてみる

── 子育て・家事をするために仕事を効率化することも大切だと思いますが、アドバイスはありますか?

 最近は仕事の効率化について取材で聞かれることが多いのですが、やはり、大事なポイントと言えば、「仕事の段取り」だと思います。段取りについては、その日だけではなく、2日後くらいまで考えて、無理のないスケジューリングをするように心がけるといいと思います。

 僕は1日のスケジュールに入れる用件は3件までと決めています。人間の脳というのはそんなにキャパがないので、あまりいろんなことをやり過ぎるとかさばってしまって効率が落ちてしまうものだと思っています。

 1日3件程度にしておけば、移動時間などもスムーズにいくことが多いですよね。例えば、午前中に1件打ち合せがあったら、2件目はその近くで調整できれば、移動時間もかかりません。こういった移動を伴うスケジューリングは1週間単位であらかじめ決めてしまうことも多いですね。特に打ち合わせなどは1時間であるところを、どう45分に縮められるのかをその場で考えます。それで早く終わることができれば僕だけではなく、相手も楽です。

 要するに、常に追われているといった感覚になるのではなく、「どうすれば早くビールが飲めるか?」ということですね。もう、僕はそれしか考えていないと言っても過言ではありません(笑)。

 これは、ふざけて言っているのではありません。僕は基本的に「仕事が最重要」とは思っていないということなんです。「人生を楽しむことが最重要」なんです。毎日、おいしいビールを飲むとか、早く帰って家族と会う、楽しい仲間と騒ぐ、週末に遊ぶなどなど……。そういうことが、僕にとって働くモチベーションになっているのです。

 「働く」の語源は「はた(傍)をらく(楽)にする」という説もあるそうです。正しくは語源ではなく言葉遊びのようですが、自分が効率良く働けば、一緒に仕事をする人も楽になる。僕は常に、そういう感覚でいます。

── やはり、生き方をどうするかという問題なのでしょうか?

 繰り返しになりますが、働き方改革にしろ、仕事を効率的にするにはどうするかということを考える前に、生き方をどうするかということをまずは考えないとダメだということですね。生き方を変えようと思えば、絶対に働き方は変わるはずです。

 多くの人は、働き方をどう改革するかという話になると、長時間労働をどうするかといったことしか考えません。休暇をちゃんと取れるのかどうかといった、ものすごく狭いところだけでみんなが議論していることに、僕は違和感を感じています。

 それよりも、人の生き方という根源的なところをそれぞれが考えるようになれば、世の中と言いますか、社会も自然と変わっていくだろうと。笑っているパパが増えれば増えるほど、社会は変わっていけるのだと僕は思っています。