熟年離婚予備軍にならないために

 ──どう生きたいのかといったことまで考えて、そのうえで自分の今の仕事が楽しいと思えるパパというのは、もしかしたら少ないのかもしれません。むしろ、今の仕事がつらいだけで楽しいと思えない場合は、どうすればいいのでしょうか?

 夏休みの最後の日などにパパたちがニュース番組で空港とか駅でコメントを求められて「もう、明日から会社なんですよね……」みたいな光景が毎年のように流れているのですが、「なんでそんなコメントを流しちゃうんだろうなあ!?」っていつも思います。他のパパもそう思ってしまいかねないですよね。僕がコメントするなら、「タップリ遊んだので、明日からまた楽しく仕事します!」って明るく答えますけどね(笑)。

 FJでは、仕事も家庭も楽しむ生き方というのを提唱しています。それは、仕事も家庭もどっちがオンでどっちがオフということではない。やはり、パパが会社でも家庭でも笑っているほうがいいに決まっていますから。それが子どもにとってもいいわけです。子どもには分かりますから。「パパ、本当にこの仕事をやりたいと思って、楽しんでいるのかなあ?」って。

 そのためにどうするのかは、人それぞれの人生です。僕の場合は、いろんな選択肢があったから、決断してきたわけです。その決断を邪魔するのは、「家族のために」など、家長として働くことを宿命付けてしまうことですよね。そうなってしまうと、がんじがらめになってしまって笑顔がなくなってしまう。電車に乗っていると、そういうパパがいっぱいいますよね。

 そういうパパは、もしかしたら、熟年離婚予備軍になってしまっているのかもしれません。なぜなら、ママにとっては、自分のパートナーですから、楽しく生きている人と一緒にいるほうが人生楽しいじゃないですか。これは、当たり前のことだと思います。

自分の人生や生活の質を高めていくことが大事

── 安藤さんがその考えに至るのに、何かキッカケなどあったのですか?

 僕の場合は、自分の父親を反面教師にしていました。「この人は何がそんなに面白くないんだろう?」と、いつも思っていましたから。家のなかでは傍若無人に振る舞っていて、母親に対して暴言を吐いたりしていたんですよね。そんな父親の様子を見ていて、「僕は絶対に父親みたいな大人にはなりたくない!」と、ずっと思ってきました。僕のように、父親を反面教師にできる人ならいいのですが、できない人はどうすればいいのか。それは、もっと多くのメディアが伝えていかないといけないことだと思います。

 ただ、いつも念頭に置いておくといいと思うのは、「クオリティ・オブ・ライフ」ですね。人生の内容の質や社会的に見た生活の質のことです。自分の人生なのですから、自分の人生の質や生活の質を高めていくことこそが、自分のみならず家族やその周囲を笑顔にするんだ、ハッピーにするんだという、自分のなかでの理念みたいなものを持つといいのではないでしょうか。そういうふうに考えるほうが、絶対に人生は楽しいものになると思います。

 それが実践できるようになると、ママも「最近、夫が変わったかな?」と思うだろうし、子どもも「最近、パパ機嫌がいいなあ」と思って、家族全体が明るくなる。そうなると、家族の会話もスムーズになると思います。

 これも当たり前のことですが、イライラしている人に話しかけるのって嫌じゃないですか。だから、僕は新米パパによく言うんです。

 「家に帰る前に、会社のことや仕事のことなどいろんな“しがらみのブラウザ”を閉じて、“家庭用のブラウザ”を開いてごらん。それから、家のドアノブを開けな。シケた面して家に帰ったら、子どもが会社ってとんでもないところだと思っちゃうよ」って。

 そうではなく、「パパ、今日も仕事が大変だったけど、やれること精いっぱいやってきたぞ!」と言いつつ、笑ってビールでも飲むほうが楽しいじゃないですか。子どもを膝の上に乗っけて、笑っているほうがいいに決まっていますよね。

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