仕事と家庭の両立など、さまざまな壁を乗り越えてきたママ社長やママ起業家をご紹介してきた不定期連載「私が壁を乗り越えたとき」をリニューアル。令和の時代を、時に迷いながらも前に突き進む起業ママや副業ママたちの挑戦を紹介していきます。第1弾にご登場いただくのは、ソトエ代表の児玉真悠子さん(41)。自分の働き方に疑問を持ち続けてきた経験を生かし、親子ワーケーションを企画・運営する「親子deワーケーション」という事業を立ち上げた経緯や、起業後の変化などについて、前後編で紹介します。

 仕事と育児の両立の壁を乗り越えられず、フルタイムで働き続けることができなかったという自らの挫折経験をもとに、2021年2月に会社を立ち上げた児玉真悠子さん。「心も体も家族も犠牲にしない持続可能な働き方」の実現に向けて、ワーケーションの誘致を目指す自治体やホテル事業者などと組み、親子で参加できて、子どもにさまざまな体験を積ませてあげることができる「親子deワーケーション」を企画・運営しています。

ソトエ代表 児玉真悠子さん(41)
ソトエ代表 児玉真悠子さん(41)

場所にとらわれない働き方を実現させたい

 児玉真悠子さんは慶応義塾大学を卒業後、2004年に出版社に入社。その後、ビジネス系出版社に転職し、書籍編集を担当。2008年に結婚し、2009年に第1子を出産。2010年に職場復帰しました。「ずっと夢見ていた編集という仕事に就くことができ、やりがいを感じていた」ものの、「出産してからの3年間、自分が思い描いていたほどハッピーじゃなかった」と言います。

 「子どもに対する罪悪感があったんです」と振り返る児玉さん。「例えば、子どもが昆虫に興味を持っているのに、土日も含めてハードに働く自分は、すぐには昆虫採集に連れていってあげられない。長期休みもそれほどしっかりとは取れず、田舎で長期間滞在するなど、子どもの思い出に残るような『夏休みらしい夏休み』を経験させてあげられていない……。

 自分が子どもの頃は親にいろいろな場所に連れていってもらったのに、自分の子どもには同じようにしてあげられていないという罪悪感が、常に心のどこかにありましたね。子どもをもっといろいろなところに連れていってあげたい、いろいろなものを見せてあげたいという強い思いから、場所にとらわれずに働くことができたら、という思いが募るようになりました

 当時、書籍の編集という仕事はオフィスでなくてもできる仕事と感じていた児玉さん。「たぶん、私はその頃から無意識に『ワーケーション』という働き方を求めていたんだと思います」。しかし、その頃はオフィスに出社して仕事をする働き方が一般的で、リモートワークすら浸透しておらず、ハードに働く児玉さんにとって、出社ベースのフルタイム勤務と子育てを両立させることは簡単ではありませんでした。

次ページから読める内容

  • 日本の長時間労働や休みを取らない文化に疑問
  • 仕事と育児を両立できなかった自分を責めた
  • ワーケーションは目的ではなく、手段

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