大事なのは「今あるもの」にしがみつかないこと

 「楽天的であまり悩まない」「みんなが助けてくれたからここまでやってこれた」と話す古澤さんですが、会社の右肩上がりの成長を支えてきたのは、その人柄ゆえの人脈と、時代と共にビジネスを変化させてきた柔軟性とチャレンジ精神。

 「時代はどんどん変わっていきますから、従来のものにしがみついていたらダメだと思います。時代と一緒に流れていくしかない。これからは作ったものを大量に売るという時代ではありません。ママ目線と感性を活かした品質の良いものを作っていきたいなとは思いますが、今後何をするかは……う~ん、決まっていないですね!(笑)」

 その時々の状況に応じて、楽しみながら柔軟に変化していきたいと話す古澤さん。これまでも、都内で料理イベントを開催してワークショップを行ったり、幼稚園バザーでスモックを販売したりと、様々な取り組みを重ねて来たからこそ今があるといいます。

 「取り組みのすべてにおいて、望ましい結果が出るわけではもちろんありません。でも、そのようなチャレンジや子育てを通じて人と出会い、そこから仕事の受注につながることはよくありました。ママ友には、あえて会社のことを積極的に話したり、商品を売りつけたりは決してしません。でも、隠してはいないので、セールをすればママ友も買いに来てくれますし、現在ヒット商品の1つである今治ハンドタオルシリーズも、娘の部活動を通じて出会った保護者の方がきっかけでした」

都内の会場にて、クリスマスにイベントを開催したときの1枚。左から2人目が古澤さん
都内の会場にて、クリスマスにイベントを開催したときの1枚。左から2人目が古澤さん

プライベートで培った人脈とママ目線がビジネスを広げてくれた

 家庭や子育てにしっかりと意識を向けることが、結果的に仕事にも出会いや大きなメリットをもたらしている。古澤さんからはそのような印象を受けます。

 「スマイリッシュの商品には、“お母さんの温かみ”や“手作り感”があるとよく言われます。あえて狙っているわけではなく、結果的にそうなるという感じ。だって私たちはみんな主婦であったり、子どもがいたりするから、商品開発のアイデアはあくまで主婦・ママ目線

 幼稚園では冬場にお弁当の温め直しや保温ができるよう、アルミ製のお弁当箱を指定されることがあります。スマイリッシュで販売しているものも、やはりアルミ製。さらに、汁がもれないように中蓋をつけ、シンプルかつ可愛らしいデザインが施されています。

 「パッキンがないと汁が漏れちゃうから。それに、少しお堅い幼稚園だと、キャラクターものは敬遠されることも多い。市販の子ども用のお弁当箱はキャラものが多いから、そうでない上品、かつ、子どもが喜びそうな可愛いデザインの物を作りたいなって。このような工夫はお弁当箱に限らず、スマイリッシュのすべての商品に共通しています」