起業するまでの経緯や仕事と家庭の両立についてなど、多くの壁を乗り越えてきたママ社長やママ起業家を紹介する「私が壁を乗り越えたとき」。今回は、専業主婦が夫の危機を助けるべく事業を立ち上げたストーリー。東京・恵比寿にレンタルドレスショップを構える「ドレスティーク」を立ち上げた木原直子さん(44)を紹介。「上編」「下編」の2本立てでお伝えします。
夫が無職に! 自宅マンションの1室で開業
「夫と一緒に住むようになってから、一度専業主婦になり、その後今の会社を立ち上げました」と話す、レンタルドレスショップのオーナー木原直子さん。専業主婦が会社を立ち上げると聞くと、生活のためというより、生きがいを求めてのことなのかと思われがちですが、木原さんの場合は、どうやらそんなに生易しいものではなかったようです。

「不動産ファンドの取締役で高収入だった夫が、リーマン・ショックで突如無職になってしまって。夫は会社の清算処理に追われる日々で、『無収入の期間が1年以上続きそうだから、今住んでいるマンションを売るか、何か事業を始めて生活を支えてくれないか』と言われたんです」と、話す木原さん。しかし、そんな究極の2択でなくとも、会社員になるという選択肢もあったのではないでしょうか。
「実はその頃、不妊治療をしていたんです。子どもを諦めたくなかったので、自分が会社員になるという選択肢はありませんでした。不妊治療を成功させるには、いつでも自由に時間を操れないと難しい。どんなに時間をやりくりしても、平気で『明後日の11時にもう一度受診に来てください』と言われたりするので、仕事も不妊治療も中途半場になることは避けたかったんです。
だから、私は起業を選びました。といっても資本があるわけではないので、少ない元手でできることを考え、自宅マンションの1室でジュエリーやドレスを貸し出す事業を始めました」と、立ち上げた経緯を話してくれた木原さん。2008年に資本金1円で法人化したといいます。
「ニューヨークの古着屋さんで安く買ったヴィンテージのジュエリーやドレスをいくつか持っていたのですが、もちろん、それだけでは足りないので、新たに仕入れる必要がありました。日本政策金融公庫に融資をしてもらおうと相談にいったら、『事業の経験がないから』と門前払い。
仕方なく、なけなしの貯金をかき集めて80万円でドレスを仕入れ、友人に20万円でホームページを作ってもらいました」

次ページから読める内容
- 卒業し損ねた私を雇ってくれた会社に成果で恩返し
- 仮面浪人をして親の敷いたレールを飛び出した
- イベントコンパニオンや居酒屋で次々スカウト
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