令和の時代を、時に迷いながらも前に突き進む起業ママや副業ママたちの挑戦を紹介する本連載。第3弾にご登場いただくのは、新生銀行のリテール営業推進部でシニアマネジャーを務めながら、週末などを使って手まりを制作・販売する副業にも取り組む中嶋浩未さん(41)。副業を始めたことで、副業と本業に相乗効果が得られたと話します。詳しく聞いていきましょう。

これから始まる40代、「何か新しいことを始めてみたい」と決意

 副業を通して世界が広がった――。そう話すのは、中3の息子と小4の娘を育てながら、新生銀行のリテール営業推進部でウェブマーケティングなどを担当する、シニアマネジャーの中嶋浩未さん(41歳)です。40歳の誕生日を迎える前、これから始まる40代をどう過ごしたいかを考えたときに「何か新しいことを始めてみたい」という気持ちが芽生えたと言います。そこで始めたのが、子どもの頃から親しみのあった「手まり」の制作でした。

 最初は、コロナ禍でおうち時間が増えたこともあり、息抜きできる趣味として始めたという中嶋さん。何を始めようかを考えたときに、ふと、昔、祖母がよく作っていた手まりを思い出したのだそう。「当時は興味が無かったけれど、今自分で作ってみたら楽しいかも」という軽い気持ちで飛び込んでみたと言います。すると、瞬時にはまり、教室に通い始めたり、本を買って自分で作ってみたりと、みるみるうちにのめり込んでいきました。

 中嶋さんは、起業しようとは「1ミリも」考えていなかったそうです。ところが、手まりを始めたタイミングで離婚を経験し、シングルマザーに。「意図しない出来事に精神的に参ってしまった」中嶋さんは、気持ちを和らげるために、手まりで起業することを決意しました。現在は、会社の兼業・副業制度を利用して手まりを制作し、個人事業主としてホームページやSNSを通して販売しています。

 「子どもには心配をかけたくなかったので、何か新しい目標に向かって動いていくことで、なんとか失いかけた正気を保つことができました。手まりを作っているときは、わくわくするし、無心にもなれるので、不安なことや嫌なことを忘れられる。確保できる時間は短いけれど、気持ちを切り替えることができるので、手まりを始めてよかったなと思います」

40歳から手まりの制作・販売を始めた中嶋浩未さん(41)
40歳から手まりの制作・販売を始めた中嶋浩未さん(41)