「このままだと仕事を続けることができない、と焦りました。そのとき娘の習い事先に相談をしたら、普段は預かりをしていないけれど、習い事が終わった後の1時間だけ預かってもらえることになったんです。驚くほどの高額だったのですが、仕事を続けるためには仕方なく、お願いをすることにしました」

 そのときに、一時預かり託児施設が不足していることを実感したといいます。

 「自分のように朝から晩までではないけれど、子どもを預けたい家庭が、子どもを預けられる場所は限られている。それなら自分で作ろう、と思いました」

2017年8月、ママ目線で考えた一時預かり専門託児施設を開業

 まずは自宅近辺を中心に、条件に当てはまる物件を探し始めました。

 「とくに期限を決めるのではなく、いい場所が見つかったら始めよう、と思っていました。自転車置き場がある、避難経路がしっかりしている、暗くない雰囲気、目が行き届きやすい1フロア、1階だったら目の前の道が広くてガードレールがあったほうがいい……など、ママ目線で考えました

 不動産屋さんに紹介してもらい、ついに納得のいく物件が見つかります。2017年8月、一時預かり専門託児施設「ハッピーママ&キッズ」をオープンさせました。

 「常勤スタッフは3名(取材当時)。全員保育士資格を持ち、1人は約10年間都内ホテルの一時預かりの託児所に勤めていたベテランです。1歳から小学校入学前の子どもが利用でき、一度に15名まで。少人数にすることで、目の行き届いたケアができます」

 実際、施設を訪れてみたところ、木のおもちゃなど、置いてあるものにもこだわりが感じられます。絵本の読み聞かせも毎日行われていて、あたたかい雰囲気の中、子どもたちの笑顔が見られました。

 「子どもが起きているとなかなか電話もしづらいので、初回の面談申し込みや登録後の予約、キャンセルは、すべてウェブサイトからできるようにしています。予約日前日の午後5時までであれば、キャンセル料はかかりません。ママが利用しやすいような仕組み作りを考えています

定期利用の子どもを受け入れて枠をいっぱいにしてしまうのではなく、あえて『一時預かり』という形態にこだわっている
定期利用の子どもを受け入れて枠をいっぱいにしてしまうのではなく、あえて『一時預かり』という形態にこだわっている