育休取得で仕事も家庭も充実するように

── 育休を取得してみて、仕事観など変化はありましたか?

よしもと 僕が育休中の1年間で、かなり教員の働き方も変わってきて、部活なども週に1回は休むようにするといった流れになってきています。そういうこともあって、月に100時間くらいあった残業時間は、復帰後は数十時間少なくなりました。教師の労働環境も改善される方向に向かっているので、今後も家族との時間を持つことができるようになっていくのではないかと思っています。

 僕は国語を教える教師なので、国語を教えるのは当然で、それとともに生き方を教えるということも大事だと思っています。今、国としては「生きる力」を教育の大きなテーマに掲げていますが、育休を取得している1年間、自分自身が「生きる力とは何なのか」とか、「自分にとっての生き方は何なのか」といったことを家族と触れ合いながら考えてきました。そういうことを大事にして、生徒たちに伝えていけたらいいなあ、と思っています。

── ワークライフバランスについても考え方が変わったところもありそうですね。

よしもと さすがに1年間も仕事を休むと飽きてくることもあって(笑)、仕事へのモチベーションがものすごく上がりました。1年間頑張ったことを家族が理解してくれていて、より働きやすい状況になったと思います。全力で仕事に打ち込むことができると言いますか、今まで以上に仕事に熱を入れて頑張れるようになりました。

 もちろん、それは、ただ仕事ばかりやっているということではないですよ(笑)。仕事をただダラダラとやるのではなく、しっかりスケジューリングをして、家族旅行などのイベントも入れる。適度に仕事の予定が入っていたほうが、家族の予定は「ここしかない!」という感じでピンポイントで入れられる。仕事も家庭も、以前より充実するようになったと思います。

 それと、1年間じっくり家族の様子を見ることができたので、家庭を見渡すことができるようになりました。例えば、長男の幼稚園などの保護者の集まりは全部、僕のほうが出ていました。いつ、どんな行事があって、どういう感じなのかといったことも分かります。そういう意味で、家族全体を見渡すことができるようになったということですね。

 これは、仕事でも生かされています。家庭訪問したとき、生徒の家庭のこともよく見えるようになりました。保護者の方と話していても、以前は理解できていなかったことも多かったのですが、そこが見えてくるようになった。「ああ、あの生徒は学校ではあんな感じだけど、家庭ではこんな感じなんだな」とか。そういうのが見えてくると、生徒との接し方も変わってきます。

 以前はけっこう、指導といった感じで生徒と話すことが多かったのですが、最近は「先生、やさしくなった」と言われるようになりました。育休の経験が仕事にも生きているのかな、と思います。

── 最後に、読者の皆さんに伝えたいことがあればお願いします!

よしもと 育休を1年間取得してみて、本当に良かったと思っています。決してお金では買えないものをたくさん得ることができたからです。そういう立場の僕から言いたいのは、やはり「夫婦仲良く」が大事だということですね。

 夫婦で協力して子育てをする。その姿が子どもたちの将来につながると思うんです。自分たちの頑張りが、未来を作る。だから、男性でも育休を取得しやすい世の中になってほしい。自分の子どもたちが大人になったときに、安心して子育てができるような環境をこれから皆さんと共に作っていけたらいいですね!

バスケットボール部の指導にも力を入れている
バスケットボール部の指導にも力を入れている

(取材・文/國尾一樹)