育休取得して良かったと思った、長男の言葉

── 育休中に印象に残っていることなどありますか?

よしもと 妻との関係で言いますと、平日にどこかに出かけるといったことはあり得ませんでした。ところが、育休取得中にたくさん出かけられたのは良かった。例えば、近所のカフェでモーニングを食べながらゆっくりするとか。共働きであれば、あり得ませんよね(笑)。本当にささやかな時間ではありますが、思い出として強く残っています。

 妻のことで言えば、自分の時間が増えて、仕事に関する資格も取得することができて、キャリアアップできたこと。新たにベビーマッサージの資格を取得したことで、これまで身につけていたエステのスキルと併せて親子マッサージもするようになって仕事の幅が大きく広がった。それによって妻がやりがいを持って仕事を再開することができたというのも、育休を取得して良かったと思うことができるひとつですね。

 子どもの面で言いますと、育休を取得したことで、わが子と触れ合う時間もタップリ確保できました。妻も時間がある日は家族4人でどこかに出かけるよりも、僕と長男は動物園に行って、妻は娘と子育てプラザに行って遊ぶとか。逆パターンで、僕が娘と遊びに出かけて、妻と長男の時間をタップリ作ることも。もちろん、夫婦の時間もたくさん作りましたが、いろんな組み合わせで家族の時間をたくさん作ることができました。

 長男のチック症状もなくなりましたし、あまり触れ合う時間がなかった僕も息子と話ができるようにもなりました。長男の成長にとっても良かったのではないかと思っています。家族みんなにとって良かったし、とても有意義な時間を過ごせた1年間だったと思います。

── 育休を取得して良かったなあと思う瞬間などのエピソードはありますか?

よしもと やはり、今年3月末の育休最後の日ですね。家族で「育休お疲れさま会」をしたのですが、5歳になった長男は、わりと僕が1年間、何をしていたのかをちゃんと理解してくれていたようです。そのときに、「来週からパパは仕事に出るから昼間はいなくなるけど、もう、さみしいなんて言わないよ! これからボクも頑張るよ! 妹のお世話もするし、ママのお手伝いだって、ちゃんとできるよ!」って。それを聞いた瞬間、本当にうれしかったですね。

 下の娘も1年間、僕がメーンで見てきたので、ご飯食べたいときやオムツ替えしてほしいときなどは、僕のほうにばかり寄ってくるんですよね(笑)。「パパ、ごはんちょうだい」って。しっかり時間をかけて愛情を注いだぶん、その見返りはあったのかな、と思います。妻としてはちょっと不本意かもしれませんが(笑)。

男性が育休取得するには貯金が必要

── 育休を取得することで、不安になることはなかったですか?

よしもと 家族全体のメンタル面で言えばいいことしかありませんでしたが、金銭面でけっこう苦労するところもありましたね。1年間の育休取得後に計算してみましたが、育児休業給付金を入れても、年間で250万円くらいマイナスになっていました。特にわが家の場合は、妻が切迫流産の危険性もあって、出産費用で100万円近くかかってしまったことも大きな要因ですが、給付金は、申請してから半年後くらいにならないと支給されません。それまでの期間をどうしのぐのか。そのためには貯金が必要だということが分かりました。

 僕の場合、育休に突入した直後は、前月の給料も入るので気にしていなかったのですが、本当に家計的に大変になってきたのは夏以降。長男は幼稚園に通い始めたので、夏休みなど長期休暇もしっかりある。妻は資格取得など、キャリアアップのための時間が必要なので、2人の子どもの面倒をしっかりと僕が見なければなりません。そんななかで、貯金はどんどん減っていきます。家計的に言えば夏ごろが一番、厳しい山場だったのかな、と思います(笑)。

 育休を取得した場合、前年の収入によって税金が算定されるので、育休を取得する前に対策をしていないとキツいことも多々あると思います。公務員である僕の場合、前年度の収入などから住民税などが年間30万円くらいになりました。それを育休中は一括で支払わないといけないので、かなりしんどいですよね。

 そういうことを考えると、前年には保険を何かとかけておくとか、ふるさと納税を多めにして税金をなるべく下げるようにしておくとか、それぞれに対策を考えておくといいと思います。とはいえ、逆にその翌年は無収入扱いになるので、保育料が安かったり、住民税もほとんどありません。そういったこともしっかりとシミュレーションしておくことも大事だし、ある程度の貯金をしておくことも必要だと思います。