こうあるべきといった、これまでの父親像に縛られることなく、それぞれの家族にとって最適なカタチを模索しつつ、妻と共に自分らしく育児を楽しんでいる。そんなパパたちに、子育て中のパパライターがインタビューするこの連載。自身が追い求める理想の父親像とともに、育児や家族への考え方、仕事観などについてお話をお聞きします。

 第4回は、大阪市内の公立中学校教諭のよしもとあきふみさん。昨年4月から、大阪市内ではほとんど前例のない男性教諭による1年間の育児休業を取得。その経験をブログ「男性の育児休業を第二子で!」にて綴っています。1年の育児休業を終え、今年4月から職場に復帰したよしもとさんの勤務する中学校で、お話をお伺いしました。

 上編はこちら 育休取得した男性教師 「お金では買えない1年」

長男に自分の背中を見せる

── これまで、思うように家族と触れ合う時間を思うように確保できなかったなかで、1年間育休を取得してみてどうでしたか?

よしもとさん(以下、敬称略) 第二子出産直後ですので、第二子の娘と妻は家にいる状態です。上の子は幼稚園が始まったので、昼間は家族3人、長男が幼稚園から戻った後は4人の時間が確保できました。特に最初の2カ月はゆったりとした感じで家事の分担もうまくできましたし、楽しく過ごすことができたと思います。

 妻の体が回復し始めた3カ月後くらいからは、妻の時間をどんどん作ってあげられるようになりました。それによって妻はベビーマッサージなどの資格を取得したり、運転免許も取得するなど、仕事に復帰するための準備ができたということですね。長男が幼稚園に行っている間は、僕のほうが娘を1人で見るという形に自然とシフトしていくことができたと思います。

── 欧米などでは男性が育休を取得するのが当たり前になっていて“父親になるためのトレーニング”として重要視されているようですが。

よしもと 自分が教師ということもあって観点がちょっと違うのかもしれません。第一子が男の子だというのもあるとは思いますが、長男にパパもちゃんと育児をやっているんだよっていうところを見せたかったというのがありました。教育のひとつとして、わが子が父親になったときにやってほしいという思いですよね。

 もちろん、父親として成長するための期間ということもありますが、一人暮らし経験もあって家事は一通りできるので、長男に自分の背中を見せるとでも言いますか……、父親が育休を取得してくれて妹の面倒を見てくれたんだということをちょっとでも覚えていてくれたら、長男もきっと同じことを考えるようになってくれるんじゃないかという思いがありました。

── 1年間、ある意味では専業主夫になったわけですが、特に困ったことはありませんでしたか?

よしもと 育休中は、家事も育児も僕のほうが主体的にやりました。2度立ち会い出産を経験していますし、その前に父親セミナーなども受講していました。教師という職業柄、子どもと接することに関しては苦手ではないですしね。

 家事に関しては一通りできるので、特に問題はありませんでしたが、ひとつだけ、裁縫だけは苦手でした(笑)。長男が幼稚園に通うようになると、色々と裁縫で作らないといけないものが出てくるのですが、そこは妻に任せていました。もちろん、頑張れば僕でもできるのですが、裁縫は妻のほうが上手だし、自分がやりたいと思っていたようです。それぞれに得意なこと、不得手なことがあって、譲れない部分もあったりする。お互いに得意な分野を生かすことで家庭内の分担が出来上がっていったのも良かったんじゃないかと思います。

 あと、一緒にいる時間が圧倒的に増えるので小競り合いみたいなのが増えましたね(笑)。ちょっとした方針の違い、例えば、洗い物をどこに置くのかとか、洗剤の使い方はどうだとか……。そういう細かいケンカは増えたと思います。でも、ケンカするほど仲が良いっていう、本来の夫婦関係に戻れたということでもあると思いますけどね(笑)。

 やはり、仕事柄、妻と小競り合いになると言い方が教員っぽいらしいんですね(笑)。どうしても“指導”といった感じになるようで、そこが妻からするとカチンとくるみたいです。「なんでそんな言い方するのよ!」って。一種の職業病かもしれません(笑)。

よしもとあきふみさん

大阪市内の公立中学校教師。担当教科は国語で、放課後はバスケットボール部で熱心に指導している。2016年3月、第二子が生まれるのをきっかけに、前例のない1年間の育児休業を取得することを決意。2017年3月まで1年間の育児休業を終え、4月より仕事に復帰。自身の育児休業中の経験などを綴るとともに、第二子での男性の育児休業を勧めるブログ「男性の育児休業を第二子で!」(https://ameblo.jp/asahi-iroha/)を現在も更新。ママのための情報サイト「スマイルママ」にて、自身のブログと同タイトルで連載記事も執筆した。(http://smilemama.jp/?p=8896)