こうあるべきといった、これまでの父親像に縛られることなく、それぞれの家族にとって最適なカタチを模索しつつ、妻と共に自分らしく育児を楽しんでいる。そんなパパたちに、子育て中のパパライターがインタビューする連載です。

 第6回は、コンサルティングのエキスパートである永井貴博さん。4年前に独立し、ユニイク代表取締役として、本業のコンサルティング業の傍ら、子どもの発信力を養い、人の役に立つ喜びを知ることで、自ら学んでいく力を身に付けるための教育プログラム「こども宣伝部」を主催している。他人の価値観のなかで生きてきた自分に気づき、独立後は自分の価値観で生きていこうと決心した永井さんに、目指す父親像、家族像とともに、これからの子育て・教育、ご自身の仕事観についてお話をお伺いしました。

夫婦で笑っている時間が長くなることが大事

──まずは、家族構成からお教えください。

永井貴博さん(以下、敬称略) 3つ年上の妻と、長男(3歳)と長女(1歳)の4人家族です。妻とは大手広告代理店のクリエーターの方が主催する「変会」というのがあって、そこで出会いました。知人のなかで一番、変な人を連れていくという会なのですが(笑)、その場で紹介してもらって知り合いました。

 僕はJTBから転職した楽天を退職後、独立。本業のコンサルティング業の傍ら、子どもたちの表現力を高めるための教育プログラム「こども宣伝部」を事業化するべく励んでいます。3年前に渋谷区から鎌倉市に引っ越したのですが、現在、妻は週末を中心に、自宅でヨガ教室を開催しています。

── 渋谷区から鎌倉市への引っ越しは何か理由があったのでしょうか?

永井  それまでは、渋谷区の道玄坂にあるマンションに住んでいました。独立する前は、多くの会社勤めの人と同じように、朝7時に家を出て、夜11時ごろに帰宅するという生活をしてきたのですが、妻といろいろ話していて、海のそばに住みたいねという話になりました。鎌倉は歴史も多様性もあるし、海も森もあるからいいね、と。鎌倉縛りで一軒家を探して、引っ越しました。

 決め手となったのは、1階が吹き抜けで開放感があり、リビングがとても広い家だったこと。広ければ、妻がヨガ教室を開催できるし、とにかく人が集まる家にしたかったんです。大家さんも近い考えを持っていて、もともとは外国人が住むシェアハウスにしようかと建てた家だったそうです。

 移り住んでからご近所さんとも仲良くさせていただいていて、隣のおばあちゃんなどは、勝手に家に入ってくるくらいです(笑)。友達に集まってもらってホームパーティーもよくやります。人がいっぱい来る家って楽しいじゃないですか。そういう理想の生活を求めて引っ越しました。

 結婚後は楽しいことをしたいね、という話を夫婦でしていました。僕は笑顔がすてきな女性が好きなんです(笑)。妻がそうだったので結婚したのですが、常に笑顔でいてほしいから、楽しいことをする。楽しいことをするから、笑顔になる。好循環です。夫婦で笑っている時間が長くなることが大事だと思っています。

永井貴博さん

早稲田大学卒業後、2004年にJTBに入社。2年後に楽天に転職して楽天市場事業に配属される。年間売上最大のショップオブザイヤー店舗を同時に6店舗輩出するなどして、2013年に楽天グループ総合MVPを受賞するも、いつも他人が決めた価値観“他人軸”で生きている自分からシフトしたいと独立を決心。コンサルティング経験から「せっかくいいものを持っているのにアウトプット出来ていない人や企業を強くしたい」と教育を志し、教育先進国オランダへの短期留学を経て2013年にユニイクを設立。子どもの発信力を高めるための教育プログラム「こども宣伝部」を主催。失敗談をお題に、中高生と対話することでお互いに学びを得る「中高生と、色々あったけど今が一番楽しい大人との対話の会」実行委員代表も務める。2児のパパ。