オッパイが出ないことに本当に困った

── こどもなーとが小規模保育所に移行するまでは、家事も主体的にされていたとお聞きしましたが、現在はどういう感じなのでしょうか?

和泉 今は、こどもなーとの運営が忙しくなりすぎて時間が取れなくなってきているので、僕は家事に関してはできることをやるという感じになって、逆転しました。妻のほうも、子どもが大きくなるにつれて“母の味”じゃないですけど、自分が作った料理を食べてほしいという気持ちが強くなったようで、積極的に家事をしてくれています。

 僕はもともと料理好きで得意なほう。大体のものは作れます。子どもたちに好評なのは、パスタ類やチャーハン、チヂミあたりですね。あとは、熊本出身ながら、大阪に住んでいますから、たこ焼きやお好み焼きも作ります。保育園でも調理するくらいですから、本当はもっと料理もしたいところなのですが、今は妻のほうが積極的に料理を作って頑張ってくれているので、任せるようになりました。

── 主体的に家事・育児をしていたころに困ったことなどありますか?

和泉 とにかく、オッパイが出ないことに本当に困りましたね(笑)。本気で「僕にオッパイがあれば……」と思うくらい追い詰められることって何度もありましたから。2人目のときは慣れもあって大丈夫だったのですが、やはり第1子のときは2~3時間おきに授乳しないといけないので、妻は付きっきりになって育児疲れしていました。ですので、子どもは見ているからどこか出かけてきていいよということで、妻に時間を作ってあげるようにしていました。

 他にも当時困ったのは、娘と外出したときのオムツ替えですね。今みたいにオムツ替えスペースなんてあまりなかったし、特に男性用トイレには何もない。今はけっこう、男性用トイレにもありますが、当時はぜんぜんなかったですから。

子どもと関わる時間を作るために仕事を頑張る

── 兼業主夫のような形で家事・育児に主体的に関わってきて良かったことや、仕事観に影響したことはありますか?

和泉 娘は小学校6年生、息子は小学校3年生になりましたが、濃密な時間を過ごすことができたお陰で、今でも子どもとの関係性はいい状態でキープできています。子どものことをよく把握できている感覚があります。一緒に遊んだり、共通の話題で会話が弾みます。子どものことをちゃんと把握しておくというのは、父子の関係性を維持するうえで、ものすごく大事なことなんだと思いますね。

 フリーランスだとか、何か自営業をされていて、スケジューリングの自由度が高い働き方が可能なパパには、兼業主夫的に家事・育児をすることはオススメしたいですね。できることなら、僕も兼業主夫に戻りたいくらい。今はこどもなーとが6カ所になって従業員も増え、組織化されてきたので、僕がいなくても回るようになってきています。そうなると、自分の時間も少しずつ取れるようになってきました。

 子育てという意味では、今でも毎日、夕方になると小学校まで2人の子どものお迎えに行っているんですよ。仕事をしながらでも、ちょっとずつ子どもと関われる時間を作るように工夫をしています。これからも、子どもと関われる時間を増やせるように、仕事を効率化しながら頑張っていきたいと思っています。

 仕事観という意味では、先ほども言いましたけれど、仕事と思ってやっていないというのがあります。ただ、最終目標として目指すところは何かと問われれば、やはり兼業主夫。子どもたちが学校から帰ってくるときに「おかえり!」って迎えられるのが理想なんです。それがやりたいから、そのためのベース作りを今、しているといった感じです。

 ただ、そのためのベース作りが、子どもの成長スピードに追いつかないんですよね。そうこうしているうちに、子どもたちは成長と共に自分から離れていってしまうので、焦っているところもあります。ただ、子どもと接する時間を増やすために努力し続けることが大事だし、たとえ、子どもが自立してしまったとしても、帰ってくる場所をちゃんと確保しておいてあげたい。

 成長した子どもたちが何かやりたいことが出てきたときには、相談に乗ってあげたいし、そのための手助けができるくらいの余裕を持った父親でいたいという思いもありますね。