4歳と7歳を子育て中のデュアラーママでアナウンサー、子育て中の家族の心に寄り添うメディア&プロジェクト「ホリプロ保育園」えんちょーを務める安田美香さん。「ホリプロ保育園」で取材した人やニュースをあれこれ深掘りしていくインタビューをお届けしています。今回のゲストは、3人のお子さんのママで、『感情的にならない子育て』を出版された、子育てアドバイザーの高祖常子さんです。

 「ホリプロ保育園」えんちょー安田美香です! 「ホリプロ保育園」とは、本当の保育園ではありません。子育て家族の心に寄り添うメディアであり、プロジェクトです。SNSで子育て情報を発信したり、リアルなイベントを開催したりしています。

 今回のゲストは、子育てアドバイザーの高祖常子さん。育児情報誌『miku』編集長、NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事を務め、全国を飛び回り講演や子育て支援の活動をされています。

>>動画【怒鳴らない叩かない育児】虐待防止について考えよう

罰を与えても恐怖心を植え付けるだけ

安田 高祖さんは今年10月、『感情的にならない子育て』(かんき出版)を出版されました。タイトルにもある「感情的にならない子育て」って、本当に可能なのでしょうか。

高祖常子さん(以下、高祖) 人間なので、誰しも感情的になることはありますよね。ですが、ついカッとなったとき、その怒りをそのまま子どもにバンとぶつけないことが大切です。著書では、怒鳴ってしまいそうなとき、たたいてしまいそうなときに、「どうしたら感情的にならずに切り抜けられるのか」という具体的な方法やヒントをお伝えしています。

安田 本の中に、「2016年に育児情報誌『miku』でアンケートをとったところ、約6割のママやパパが、子どもを怒鳴ったり、たたいたことがあると回答した」とありますね。私も、子どもに手を上げてしまったことがあります……。

高祖 「子どもを怒鳴ってしまう」「ついたたいてしまう」と悩んでいるママやパパは、たくさんいらっしゃいます。また、「こういう場面では、怒鳴ったり、たたいたりしてしつけるほうがよいのではないか」と迷っている方も多いんですよ。

安田 私が子どもの頃は、「お尻ペンペン」とよくお尻だけたたかれたものですが、今はどこまでが「しつけ」で、どこからが「虐待」になるんでしょうか。

高祖 お尻も子どもの一部です。子どもの側に立って、「子どもが心や体に耐え難い苦痛を感じることであれば、それは虐待である」と考えるべきだと思います。実際に3歳半までにお尻などをたたかれた子が、5歳半のときに問題行動を起こす(落ち着いて話を聞けない、約束を守れないなど)リスクが高いという研究結果も報告されています。

安田 子どもにとっては、「たたかれた=恐怖」しか、残りませんよね……。

高祖 罰を与えても、それはその行動を一瞬止めるだけにすぎません。感情的に怒鳴られたりたたかれたりしたとき、「なぜ怒られたのか、その理由は覚えていない」という子がほとんどです。たたかれた理由よりも、「親から怒鳴られた、たたかれた」という悲しさや恐怖のほうが上回ってしまうんです
 さらに、子どもは「どうやったらこの人から、怒鳴られない、たたかれないでいられるだろうか」と考えるようになります。「怒らせないように、この人に合わせよう」と顔色をうかがうようになってしまうんです。もちろん他人に合わせる「社会性」も必要ですが、「怖いから合わせる」というのは、子どもの「自律」という面でも好ましくありません。

安田 子ども自身が決めたり考えたりする力を、親が奪ってしまうのだとしたら、悲し過ぎますね……。

高祖 虐待を受け、今は養護施設で暮らしているというお子さんは、感情を出すこと自体を暴力によって否定されてきた子も多いため、喜怒哀楽の感情を表現しにくくなってしまっているお子さんも少なくありません。