4歳と7歳を子育て中のデュアラーママでアナウンサー、子育て中の家族の心に寄り添うメディア&プロジェクト「ホリプロ保育園」えんちょーを務める安田美香さん。「ホリプロ保育園」で取材した人やニュースをあれこれ深掘りしていくインタビューをお届けしています。前回に引き続き、10月4日に行われたイベント「みんな#保育園に入りたい 〜子育て・キャリア・待機児童、このモヤモヤを解消しよう!」の様子をリポートします。

子育ても仕事も両立できる「ワークシェア」

 「#保育園落ちた日本死ね」という言葉に心を揺さぶられたママパパたちが、今「#保育園に入りたい」という言葉に変え、待機児童問題に取り組んでいます。「ホリプロ保育園」では、2017年3月に行われたイベント「#保育園に入りたい」を生配信。あれから7カ月が経った10月4日、新たに「みんな#保育園に入りたい 〜子育て・キャリア・待機児童、このモヤモヤを解消しよう!」が開催され、えんちょー安田が司会を務めさせていただきました。前回に続き、その模様をリポートします。

 (上)では、待機児童問題を解決するために必要な土地やお金の話と、やむを得ず0歳から保育園に預けてしまう「0歳児問題」についてのお話がありました。(下)では、パパの育休や働き方改革について話が広がっていきます。

Rさん 私は3児の父で、いわゆる“隠れ育休”を取りました。制度としての育休ではなく、残っていた有給休暇などを使って、2人目のときには11日、3人目のときには19日、妻が退院した時点から仕事を休みました。

 1人目のときから育児に積極的だったわけではなくて、2人目、3人目で育休を取ったことで「子育てってこんなに大変なんだ」と知り、できるだけ家のことをやろうと変わってきたんです。育休の長さについては、各家庭の事情もありますから「何日とったほうがいい」と一概には言えませんが、パパが育休を取ることが育児参加の大きなきっかけになると感じています

治部れんげ氏 保坂区長は、「働き方を変えるべきだ」ということも、厚生労働省に対して話をされていますよね?

保坂展人氏 以前、塩崎恭久さんが厚労相だったときに「育児休業を2年程度取得できるようにして、その間は潤沢な雇用保険会計から収入保障を100%払ってほしい」というお話をしました。結果、育休が2年にはなったんですが、「2年も職場から離されてしまうと、戻りづらい」という声も多く聞きました。

 そこで考えたのは、例えば同じ職場に夫婦で勤めている家庭には、「週を二つに分けて、パパが休む日、ママが休む日を決めて、交互に会社に行く」などのワークシェア型を認めるといったアイデアです。「子育てをとるか、仕事をとるか」という選択を迫るのはナンセンスです。働く人も決定的に不足しているし、子どもの数も100万人を切り、少子化に歯止めもかからない。「子育ても仕事も両方選択できる制度を作ろう」ということで、交通の便の良い駅の近くにサテライトオフィスのような、託児機能付きのコワーキングスペースを作るべきです。これを昨年から厚生労働省と交渉していまして、今年こそなんとか実現できないかと進めているところです。

 そして企業も、「自宅近くのコワーキングスペースで働く=勤務になる」という働き方を認めていってほしい。各自治体はフルセットの保育園を作り続けることの財政的な限界に直面しています。保育園を増やすだけでなく、企業の努力も必要なんです。しかし、0、1、2歳の子どもを持つママパパ社員に対して、「早く帰っていいですよ」「子どもの発熱などで保育園から呼び出しが来たら、お迎えに行くのは当然の権利だよね」と言える企業は、現状ではまだ非常に少ないと感じています。

治部れんげ氏 わが家では、今、郊外の幼稚園の預かりの制度を使っています。クラスの半分は、ママが専業主婦の家庭です。ですが、専業ママの中には復職したがっている方も多いですし、「1人目までは都心の保育園に通っていたけれど、あまりに保活が大変なので郊外に引っ越して2人目からは専業ママやっています」という方もかなりいます。そういう方たちはまさに、「託児機能付きのコワーキングスペース」を求めています。

 フルタイムで丸々預けるというよりは、週2〜3日、5時間くらい仕事がしたい。でもこの条件では、今、保育園にアプライさえできない。これによって、働くママと専業ママが対立するような、不毛でおかしな構図が作られています

 専業ママの中にも働きたい人はたくさんいますし、フルタイムで働いているママの中にも「もう少しペースダウンしたい」というママもいる。この妥協点は近いところにあると感じます。保坂区長にお話しいただいたような場所が全国の自治体にできれば、ママが望む形で働きながら子育てができるようになるのでは、と思います。

 ――会場には、フリーランスで働くママも多く来場していて、この話には大きくうなずいていらっしゃいました。

 「子育てと働き方の多様性」がもっと認められれば、ただ保育園を増やしていくだけではない、一人ひとりのママのニーズに沿った待機児童の解消方法が見えてくるのではと感じました。さらにRさんからは、「待機児童は東京だけでの問題ではない」という問題提起がなされました。