初めての包丁は、切れないほうがいい? 切れたほうがいい?

 子ども向けの包丁は、さまざまな種類の商品が発売されています。驚いたのが、「切れない包丁」があること。初めて包丁を持つ子どもがけがをしないようにと、あえて切れない工夫がしてあるのです。

安田 「切れない包丁」なんて、素晴らしいアイデア商品ですね。初めて子どもに持たせるなら、これがよさそう!

宮木さん うーん、どうでしょう。私は「よく切れる包丁=使いやすい包丁」になると思いますよ。

 いきなり親の意見が分かれてしまいましたが、まずは「切れない包丁」と「切れる包丁」を比較してみることに。刃物の都・岐阜県関市で明治41年に創業した「貝印」の、「リトル・シェフクラブ」という子ども向けの包丁3種類を試してみました。

有名メーカーの「こども包丁」初級・中級・上級をそれぞれお試し

貝印「リトル・シェフクラブ」。写真左から、刃なし(初級)、ギザ刃付き(中級)・通常の刃付き(上級)
貝印「リトル・シェフクラブ」。写真左から、刃なし(初級)、ギザ刃付き(中級)・通常の刃付き(上級)

●貝印「リトル・シェフクラブ 包丁コアラ 刃なし」1620円

 こちらは初級用。刃が付いていないので、手を切る心配はありません。しかし、当たり前ですが硬い食材も切れません。

子どもたち うまく切れないよー!

 ストレスを感じ、無理やり力で切ろうとするので、見ていてハラハラ。むしろ危ないかも……と感じました。

宮木さん 豆腐などのやわらかい食材をトントンしたり、「包丁を握る」というだけの、本当に初歩のトレーニングにはいいと思います。でも、それだと使う期間は……ほんの一瞬で終わっちゃいますよね(笑)。

 確かに、その一瞬だけのために購入するのは、もったいないなと思いました。

●貝印 「リトル・シェフクラブ 包丁ウサギ ギザ刃」1620円

 次は中級用。刃は付いていますが、刃先がギザギザになっているので、刃が少し触れただけでは手は切れません。ただその分、食材も切りにくいです。

子どもたち うーん、あんまり切れないね。

 体に力が入ってしまい、ノコギリのように「ギコギコ!」と包丁を動かしてなんとか切ろうとするので、むしろけがをしそうで怖い……。

宮木さん ノコギリ切りは手を切りやすく、よくありません。包丁は「真っすぐおろす」と安全です。

 刃は付いているけれど、切れるようで切れない。使ってみて、一番中途半端な感じがしました。そもそも、最初は必ず大人が一緒に包丁を持って支えてあげるのであれば、切れなくする=ギザ刃である必要はないのでは? と感じました。

●貝印「リトル・シェフクラブ 包丁パンダ 刃付」1620円

 これは上級用。いわゆる通常の、ステンレス製刃付き包丁です。

子どもたち うん! これは切りやすいよ!

 満足顔の子どもたち。気持ちよく切れるので、楽しそうです。

 全長約21.9cm、重さ約59g。子どもの手に合う、程よいサイズと軽さです。ハンドルは刃に近づくほど細くなり、持ちやすい形状になっています。「刃先」と「あご(ジャガイモの芽を取るときに便利な、刃元の角の部分)」は丸くなっているので、安心です。