警察官と言えば、今も昔も子どもたちが将来なりたい職業の定番ですが、かつては長時間労働など、共働き育児が容易な働き方とは言えませんでした。しかし、時代の変化とともに警察官の仕事や環境も変わりつつあります。

 前回に引き続き、“元お巡りさん”の日経DUALの編集者が埼玉県警察本部の広報課で勤務する、川嶋雄介警部補にインタビューしました。後編をお送りします。

第一子のときはほとんど育児参加できなかった

日経DUAL編集部 田中裕康(以下、――) 前回は川嶋さんの警察官としての略歴を主にお聞きしました。今回は埼玉県警で初めて育児休業を取得した経緯についてお聞きしたいと思います。まずは、奥様との結婚のなれそめからお聞きしていいですか?

川嶋雄介警部補(以下、敬称略) 警察の同期の紹介で知り合い、付き合って1年半くらい経った2009年に結婚しました。私がちょうど巡査部長に昇進して、浦和警察署に異動したくらいのころです。

 妻は埼玉県内の一般企業に勤めていて、結婚してからも変わらずフルタイムで働いていました。そして2011年、震災のあった年に長女が生まれました。前回もお話ししたように、このころは本部の警務課にいて、震災対応その他で非常に忙しい時期でした。朝から晩まで本部にいて、繁忙期は日付が変わってからの帰宅。さらに土日も出勤するような、そんな状況でした。

―― そうすると、上のお子さんのときは、あまり育児参加はできなかったのでは?

川嶋 そうですね。ほとんど家におらず、長女の世話も家事もほとんどできませんでした。妻に任せっきりで、この時期は夫婦げんかもそれなりにしました。妻も初めての育児で不安が大きかったのに、ずっと一人きり。すごく悩んで、大変な思いをしたと後で言われましたね。

―― 奥様は仕事復帰されたんですか?

川嶋 当初は長女が1歳になった時点で復帰予定だったのですが、保育園に入れなくて、育休を延長しました。長女が1歳2カ月のときに自転車で30分くらいの距離にある、やや遠めの保育園に入園できたので、そのタイミングで復帰しました。

 そして2015年、次女が誕生しました。そのときは現在と同じ本部の広報課におり、そこで育休を実質3カ月取りました。

―― 第一子のときは取らなかった育休を、第二子では取得したのはなぜですか?

川嶋 第二子の妊娠が分かったとき、妻の出産直後の体を休めるべき時期に、妻以外に長女の面倒を見る人間が必要だ、と思ったんです。しかし、妻の実母は既に他界しており、私の母は遠方で働いていました。実家の援助は期待できる状況ではなかったんです。であれば、私が育休を取るほかないなと。

 また、長女の出産直後も私がほとんど家にいなくて、ものすごく大変だったということは妻から言われていたので、赤ちゃんの世話に加え、長女の面倒まで妻だけに任せることは、とてもじゃないけど無理なんじゃないかと思いました。私自身、子どもの成長を間近で見てみたいという思いもありました。妻からも「一緒に子どもの成長を見ることができれば、子育てがもっと楽しくなる」と言われていましたし。