娘が警察官になりたいと言ったら

―― 現在の基本的な1日のスケジュールを教えてもらえますか。

川嶋 朝は6時ごろに起床して、朝の準備や子どもの食事、洗濯などは私と妻の2人でやるという感じですね。保育園の送り迎えは基本的に妻で、私は妻が行けないときのサポート要員です。大体18時ごろまで勤務して、18時半くらいに帰宅。夕食やお風呂、子どもと遊んだりして、22時までに寝るという感じです。基本的にはそのまま子どもと一緒に寝ますが、家事とかが残っていたときは後で起き出したりしますね。

―― 家事育児の分担的にはどんな感じですか?

川嶋 それはやっぱり、妻のほうが負担していると思います。子どもにとっても、やっぱり母親のほうが気持ちのうえでウエートは大きいのでしょう。寝かしつけや抱っこでも、「ママがいい」と言われることもありますから。まあ、そこで張り合っても仕方ないかなと思っています(苦笑)。

―― ちなみに、川嶋さんの後、埼玉県警で育休を取得した方はいるのでしょうか?

川嶋 いますね。私の同僚の男性職員も取りましたし、県警全体でも育休取得を促進しています。また、育休ではないですが、妻の出産の立ち会いなどで取得できる、3日間の「出産補助休暇」は対象職員の88.9%が、第二子が生まれたときに上の子どもの育児のために取得できる5日間の「育児参加休暇」は16.4%が取得しています。埼玉県警でも、ワークライフバランスに関する意識と意欲は年々高まってきていると思います。

―― 今後、警察官としてこんなことをやっていきたいという希望や目標はありますか?

川嶋 そうですね、希望としてはやっぱり、刑事や生活安全課などの捜査部門でやっていきたいという思いはあります。ただ、捜査だけに限らず、新しいことに挑戦していきたいとも思っています。警察の仕事は本当に扱う範囲が広くて、業務も多岐にわたるので、これまで経験したことのない仕事をたくさんやってみたいですね。どんな仕事でも、警察である以上は、私がもともと警察を志望した「周りの人たちの暮らしを守る」ことにつながると思うので。

―― お子さんがもし「警察官になりたい」と言ったらどうですか? 昔と比べて女性警察官もずいぶん増えてきたと思いますが。

川嶋 そうですね。以前は恐らく全体の5%もいなかったんじゃないかと思いますが、今は当たり前にいますよね。特に現在私が所属する広報課の広報係は全員で6名なんですが、そのうち4名が女性です。県警としても、今後も積極的に女性の採用を進めていくようです。

 ですから、娘たちが自分で考えて、色々悩んだ末に警察官になりたいというのなら、それは尊重してあげたい。私のほうから警察官になってほしいという思いはないですが、本人がこれから成長して、色々経験して、よく考えて自分の道を決めてほしいなと思います。

―― 最後に、川嶋さんにとって家族とはどんな存在ですか?

川嶋 月並みな答えになってしまいますが、かけがえのない存在ですね。仕事とかで大変なことがあっても、家族の顔を見て、話をして笑うだけで、すごく心も安らぐし、温かい気持ちになれます。それで、また明日から頑張ろうという気持ちになれる。家族の支えがあるからこそ、今の自分がいる。心からそう思います。

●“イクメンポリスの妻”から一言
 夫が育休を取ったことで、長女の心が落ち着いてくれたので、本当に良かったと思っています。次女もパパっ子に育っています。
 私自身、夫と一緒に育児ができて、楽しく子育てができています。これからもよろしくお願いします。
埼玉県警のマスコット、ポッポくんと
埼玉県警のマスコット、ポッポくんと

(取材・文/日経DUAL編集部 田中裕康 撮影/江藤海彦)