つらくなってからがトレーニング

―― 筋トレ全体を通して、注意点はありますか?

古家 呼吸ですね。ちゃんと1回1回、吐いて吸うようにしてください。息を吐きながら自分の体を上げて、息を吸いながら下がります。

―― リキんでしまって、息を止めてしまいがちですよね。

古家 血圧が上がって危険な状態になりかねないので、呼吸は止めないでください。一瞬だけならいいのですが、毎回それをやっていると血管に負担がかかって、ケガのリスクが高くなってしまいます。

―― なるほど。この3種の筋トレに、週2回のランニングを行えば……。

古家 自宅でできるトレーニングとしては、もう十分です。

―― たった10分の筋トレとはいえ、結構ハードですよね。

古家 ラクなトレーニングは体に負荷がかかっていないので、実質的にトレーニングになっていないんですね。僕はいつも「つらくなってからがトレーニング」と言っています。

 たった10分でも、それをやりきれるようになるとメンタル面も鍛えられます。つらいことでも乗り越えられる自分に気付くと思います。同時に、自分の弱さも明らかになりますが、弱さに気付くことは強さにつながりますからね。「つらくて途中からラクなフォームにしてしまったな(次はしっかりやろう)」「俺は弱いな(だから強くなろう)」って。

 10分筋トレの習慣を通じて、克服する力もつけてほしいですね。メンタルが強くなると、仕事でも私生活でも壁にぶち当たったときに、「逃げないで立ち向かっていこう!」っていう行動が取れるようになると思います。

(取材・文/北野啓太郎、日経DUAL編集部 撮影/川田雅宏  トレーニング写真は『自重筋トレの教科書』より)

古家政吉
1969年生まれ。日本初のプライベートトータルリラクゼーションサロン「HOGUMI」の運営を行いながら、独自のメソッドを用いたパーソナルトレーニング事業を展開。トレーニング初心者はもちろん、芸能人やトップアスリートまで、数多くのトレーニング指導を行っている。代表的なアスリートには京太郎選手、長島☆自演乙☆雄一郎選手など。著書に『カラダ革命 腹を凹ます』『自重筋トレの教科書』(いずれも日本文芸社)など。