見た目で「臭い」と言われる“イメージ臭”

 最後に、実際は何も臭っていないのに、周りから「臭い」と言われてしまう釈然としない現象についてお伝えします。

 例えば、若者が年配者を見て「臭そう」「オヤジ臭い」なんて言うことがありますね。実はこれ、加齢臭のもととなるノネナールを嗅いで言っているわけではないのです。道端で唾を吐いたり、食後につまようじでシーシーしたり、オヤジギャグを言ったり、要するに見た目や言動がいわゆる“オヤジ臭い”からなのです。

 これを「イメージ臭」といい、見た目のイメージで臭いと思わせています。

 この場合、デオドラントを使っても解決しません。自己イメージを改善する必要があります。若々しくて、積極的で、覇気があって、自信があって……。そういうイメージづくりをすることが必要なのです。もちろん年齢問わず、清潔感のある服装や髪など、身だしなみに気を配ることも大切です。

 ――「臭い対策は、生活改善である」。五味常明医師は、体臭対策をそう締めくくりました。 野菜をしっかりと食べ、運動習慣をつけ、疲れはためないようにして、身だしなみに気を配る。生活習慣を改善することで、嫌な体臭は抑えることができるのです。

(取材・文/北野啓太郎 撮影/川田雅宏)

五味常明
体臭・多汗研究所所長
五味クリニック院長
1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践。ワキガの治療法として、患者が手術結果を確認できる「直視下剥離法(五味法)」を確立。『なぜ一流の男は匂いまでマネジメントするのか?』(かんき出版)など著書多数。