「職場復帰できるのか」という不安が大きいママ


林田 家族との時間を大事にしながらの活動が前提ということですね。ワーママ会もふなパパも、皆さん共働きですか?

奈緒子 そうですね。第一子の産後半年くらいまでに入会する人が多いです。中にはこれから出産という方もいますが、ほとんどは未就学児を育てながら働いている家族です。

林田 小さなお子さんを抱えての共働きは本当に大変ですよね。皆さん時間的にも体力的にもギリギリのところでなんとかやっているのが実情だと思うのですが、そんな中でもワーママ会やふなパパに参加する、その理由は何なのでしょうか。

奈緒子 育休中のママは、離乳食や子どもの成長など、子育ての悩みももちろんありますが、「自分は職場復帰して本当にやっていけるのか?」という先々への不安感が大きいんです。子育ての悩みを共有する場はあるけれど、復職の不安について話せる場が地域になかったんですね。当時は日経DUALもなかったですし。

 ですので、パートナーと家事育児の負担をどう分け合うか、保育園はどうするかといった共働き特有の悩みを講座や勉強会のテーマにしました。そうすることで、地域に住むワーママたちが集まるようになったんです。また、地元に頼れる家族や知り合いがいない、といった理由で参加する人もいます。平たくいうと悩みを共有できるワーママ仲間が欲しいという人たちですね。

林田 共働き特有の悩みを共有できず、復職への不安を感じながら孤独に子育てをしている人のニーズに応えたということですね。パパたちも悩み相談が参加理由ですか?

利明 パパたちは少し違いますね。ワーママ会のように夫婦間の課題や悩みを解決したいというわけではなく、「妻がいつもイライラしているけどどうしたらいいだろう?」というような、ボンヤリとした共通点がある感じです。妻が家事や育児に追われていて、大変なんだけれど、何をどうすればいいのかよく分からない。そこで「他のパパはどんな感じなんだろう」という感じで参加する方が多いようです。話題も最初は「みんな育児ってどれくらいできてます?」「家事はどうしてる?」「出張とかが多くてどうしても家事育児に参加できない」みたいなことが多かったですね。

林田 ふなパパは夫婦関係についての悩みをパパ同士で共有するということですね。参加者以上に、それぞれの会の代表を務める高橋さんご夫婦は負担が大きいと思うのですが、仕事と家事育児、地域活動はどうやって成り立たせているんですか?

奈緒子 私がワーママ会を主宰するのは“趣味”なので大変ではないですね。そもそも、大変だと思っていたらやりません。夫はもしかして「もっと家のことやってよ」と思っているかもしれませんが(笑)。

 ただ夫は、私が好きなことをしていないと気持ちが腐ってくることをよく知っているので、応援してくれていますし、いつの間にか夫までパパ友を作って会を始めていて、夫婦で楽しんでいます。会を開くことで仲間ができて、地域の他世代の人たちともつながれて、困ったときに助けてくれる人がすごく増えました。単に楽しいから、やりたいからやっている、そんな感じです。細く長く、ゆるく楽しく、続けることに意義があると思っています。

林田 自身も楽しむということが、家事育児や仕事とのバランスをとるうえでのポイントなんですね。利明さんはいかがですか?

利明 私も好きで始めたことなので大変だとは感じていません。事務局メンバーもお互いの仕事やライフ優先なので、無理なく運営できていますし、「ゆるくやろう」といつも言い合っています。

 両立の工夫といえそうなのは、早寝早起きですかね。夜は子どもの寝かしつけで一緒に21時くらいに寝てしまい、早朝にワーパパ会について考えたりする時間を作っています。毎週火曜の午前5時半から30分ほど、LINEのグループ通話でミーティングしたりしていますね。また、どうしても顔を合わせて話したいときは、子どもを寝かしつけた後に近くのファミレスに集合してミーティングすることもありますが、やっぱり共働き家庭なので、ママに負担をかけないように心がけています。