自分一人ですべてを抱え込まないで

林田 両立を実現されている皆さんですが、今、課題に感じていることはありますか?

篠田 最近は、夫の負担が重過ぎる気がしています。また、今は義母が元気なので頼ることもできますが、先々はどうなるか分かりません。いずれは親の介護という問題も出てくると思うので、将来を見据えて体制を見直さないといけないと考えています。

加藤 わが家もアウトソーシングを利用するのはいいのですが、やはりお金がかかるので、共働きでしっかり稼ぎ続けないと厳しいですね。今後は家計や将来のこと、またお互いの働き方を考えながら調整していきたいと思っています。あとは僕自身、料理が苦手なので、そこはクリアするべき課題かなと思っています。

石田 最近、夫の仕事が忙しくなりました。結果としてワンオペ時間が増え、私の疲れやストレスがたまり始めているので、何らかの解決策を見出さないといけないと思っています。今後は早朝会議や海外出張にもチャレンジしていきたいので、それも含めて体制を考えたいなと思います。

林田 最後に、チームの構築で一番大切なことについてお聞かせください。

篠田 とにかく、自分一人ですべてを抱え込まないこと。これに尽きると思います。自分以外の人やサービスに頼っていく姿勢を持ってほしい。そして、夫婦間の情報格差をなくすこと。同じ本を読んだりしながら、家庭や家事について対等な立場で話すことが夫婦協業には欠かせないと思います。

石田 篠田さんと同様、自分ですべてやろうと思わず、他人を頼る勇気を持つことだと思います。一番大切なのは、完璧に家事育児をこなすことではなく、子どもと家族の健康です。睡眠時間を削ってまで頑張る必要はないですし、そんなことをしたらいずれ潰れてしまいます。育児はマラソンなので、長く続けられる方法を考えてほしいと思います。

加藤 子育て世代はもっと、人生100年時代を見据えた家族戦略を練る必要があるんじゃないかなと考えています。そのためにも、頼れるものは頼って、「社会全体で子育て」ということをもっと当たり前にしたいと思います。

林田 人生100年時代に向けて、家族の在り方や働くことの価値観も大きな転換期にきています。皆さんが新しい両立の形を実践し、発信していくことで、これから結婚や出産を迎える世代もラクに両立できるようになると思います。そして、皆さん自身が人生を楽しむ背中をお子さんたちに見せてあげてください。ありがとうございました。

(撮影/岩澤修平)