月に一度パートナーと「家族未来会議」を

林田 共働きで忙しい中、夫婦のコミュニケーションを取る時間も限られると思いますが、そのあたりはどうされていますか?

石田 「可視化」と「共有」ですね。やることリストやタイムスケジュールはアプリで共有するようにしています。家事は分担しますが、回らない場合はアウトソーシングを活用します。とはいっても、基本的には私が解決策を考えて、勝手に始めることが多いので、そこは反省点かなと思っています。

 他には、キャリアプランの共有も大事なことですよね。以前、りんだ先生のセミナーを受けたときに「上司だけでなく、夫ともキャリアの希望を共有するように」と言われていたのですが、実際には共有できていなかった時期がありました。でも、共有した後は夫も納得したようで、協業体制が作りやすかったんです。

篠田 わが家の場合は、第一子の育休復帰時に私の家事負担が多かったので、夫に「共働きなんだから家事はしてほしい」とはっきり伝えました。あとは、夫婦で話し合う時間を設けて、お互いの不満や困りごとは1カ月単位で解消するようにしています。家事代行も、夫は最初反対していたのですが、まずはお試しを申し込んでみるなど、とにかく一度やってみるということから始めました。やや強行突破ではありますが、話し合いで解決しないことは、まず一度実行してみるということを自分から仕掛けていくのがいいと思います。

林田 「チームわが家」の構築もママだけでやることが多いので、いかに夫を巻き込んでいくかという視点が大事ですね。加藤家はいかがですか? 両立が始まったばかりでありながら、大きな問題はなさそうですが…。

加藤 そうですね。今のところうまくいっているのは、月に一回「家族未来会議」をやっているからだと思います。結婚して7年になるのですが、今でも月に一回、2時間程度やっています。

石田 それ、いいですね。具体的に何を話し合うんですか?

加藤 毎回テーマを決めて、お互いの「ありたい姿」を共有し、確認しています。主なテーマは、キャリア、学習、健康、お金、本、家族(両親)のことなど。夫婦のお気に入りの場所で、家族の未来についてじっくり話をします。決めた「やることリスト」は、スマホアプリに登録し、タスクが完了してチェックすると、相手にリアルタイムに通知される仕組みにしています。

石田 すごいですね! でも、男性って、そういうことを面倒くさいと感じる人が多い気がします。「家事は女性が主に担当するべき」というようなジェンダーバイアスにとらわれがちというか。

加藤 一般的にはそうかもしれません。わが家がよかったのは、子どもが生まれる前から細かいところまですり合わせをしていたから、出産後に大きな食い違いが起きなかったことだと思います。僕自身、副業の関係で育児に積極的な男性と会う機会が多くあり、子どもが生まれる前にたくさんの情報と知識を得ることができました。

 また、出産前に妻から10冊くらい本を渡されました。産後に女性はどうなるのかなどについて、妻が僕に知っておいてほしいと思ったことを教えてくれたので、ちゃんとすべて読みましたよ。

篠田 うちも同じですね。私が読んだ本は、ほとんど夫にも渡します。やっぱり夫婦間で共通言語を作ることは、とても大切だと思います。夫婦間の情報の格差をなくして初めて、フラットに話せるのではないでしょうか。

石田 そうですよね。情報も私のほうが多く持っていると思っていたんですが、保育園の送迎を積極的にやっている夫のほうが子どもについて分かっていることもたくさんあって。ベビーシッターをお願いするときに夫に相談しないで決めたことがあったんですが、夫に聞けばよかったと反省しました。