ママ一人に育児、家事の負担がかかってしまう“ワンオペ”解消に向けたノウハウとして、様々なリソースと連携したマルチオペレーション型の「マルオペ育児」へのシフトを提案する本連載。最終回の今回は、「子どもの家庭参加」について考えます。キーワードは、「自己有用感」と「コヂカラ」です。

子どもは頼れるチームメンバー

 家庭内外のリソースを活用してチームで家事・育児を担っていく「チームわが家」において、忘れてはいけないのが子どもの存在です。生まれてから最初の数年は本当に手のかかる子どもたちですが、3、4歳になるころには、チームメンバーへ仲間入り。おもちゃを片付けたり、洗濯物を干すときに手渡してくれたり、タオルくらいなら一緒に畳んだりすることもできるようになります。玄関の靴だって、お願いすれば必要以上にきちょうめんに並べてくれます。

 5、6歳になると食卓の準備やゴミの分別もでき、親が適当にやろうとすると注意されたりします。小学生になると買い物や簡単な料理だって任せられます。成長するにつれて、子どもはどんどん頼れるチームメンバーに成長していくのです。

 3人の子どもたちがいる林田家では、人手が多いぶん、大助かり。子どもたちがいないと家庭が回らないほどです。そもそもは、私自身の母が病気で早く亡くなった経験から、「私がいつ死んでも子どもたちが困らないように」と家事を教えたのがきっかけでした。子どもたちが小さいころから「家事はお母さんの仕事じゃなくて、家族みんなの仕事だよ」とささやきながら、子どもたちを巻き込みました。「ありがとう!」「大助かりだよ!」なんて褒め続けたかいもあって、基本的な家事は任せられるようになりました。

 おまけに、「お父さん、サボってる!」と子どもたちが突っ込んでくれたおかげで、九州男児の夫もかなりフットワーク軽く動けるように。私は遠方への出張等で家を空けることが多いのですが、そのときも安心して子どもたちに任せることができ、とても助かっています。

 成長したら自然に家事ができるようになるかというとそうではありません。小さいころからパパやママと一緒に家事を実際にすることで、家事スキルは身に付いていくものです。でも子どもが小さいときは親自身も余裕がありません。子どもに出番を作っても、時間もかかるし、ちゃんとできないのにやりたがったり、結局はできなくて途中で放り投げてへそを曲げてしまったり、かえって面倒なことになって親もイライラ。「もういい!」と自分でやってしまいたくなります。私も、自分が疲れているときや子どもたちの虫の居所が悪いときは、面倒臭くなって自分でやってしまうことが多々ありました。

 正直、「いつも子どもと一緒に笑顔で家事」などというのは、無理な話です。親自身に余裕がないとなかなか子どもの出番は作れません。まずは、親自身が「チームわが家」によって時間的、精神的余裕を作りましょう。余裕がないときは待つことができなかった子どものチャレンジも、余裕があれば待つことができ、ちょっとした失敗も大目に見てあげられるようになります。忙しい平日は無理でも、多少余裕がある週末に限定するのもいいでしょう。