主体的かつ柔軟に、自分と家族の人生を戦略的に考える

林田 今の日本の共働き家庭は、両立を大きな負担に感じていると同時に、自分自身の働き方、生き方に迷いを感じている人も多いように感じますが、その原因は何だと思いますか?

徳倉 働くことや収入を得るということについて、画一的な考え方で動いているからではないでしょうか。サラリーマンだけが収入を得る手段ではないですし、今の時代いつ会社が潰れるかは誰にも分からない。個人がより主体的に、そして柔軟に自分と家族の人生を戦略的に考えていってほしいと思います。これは、移住を考える人には特に必要なことだと思います。

 私自身、時代の動きや地域の特性をもとに予測と仮説を立てて、そこに自分たちのライフステージを重ねていくことを戦略的に考えてやっています。昨年から大学院で学び直しているのですが、それも今後の仕事の展開や、これからの生き方を考えたときに必要なことだと考えたからです。結果的に、自分の仕事の領域を広げることにつながっています。

林田 人生100年時代を生きるためには、健康以外にも人脈や変化に対応する力が必要とされるでしょう。そういう意味でも、人生の途中で自分の付加価値を再度高めるような機会は必要ですよね。そのときに自分自身だけではなく、家族の全体最適を考えることがとても重要だと思います。現在経営されているファミーリエの「家族が主体の働くカタチを創造する」と通じるところがあるように感じます。

徳倉 まさに、その通りです。私はこれまでの自分の経験から、会社や仕事に自分たちの生き方を合わせていくのではなく、家族や個人に仕事を合わせていくような働き方ができないかと、常々考えています。そうすることが、家族みんなの「幸せの最大公約数」につながると信じているからです。

林田 今いる場所でどうやってチームを作っていこうと考えるのではなく、チームが作れそうな地縁のある場所に自分から行く。その際、家族みんなが輝ける場所を基準に選択するということですね。最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

徳倉 家族や自分がどうありたいかをしっかりとイメージするところから始めると、きっと色々なきっかけや困っていることの解決の糸口が見えてくると思います。自分と子どもだけでなく、両親も巻き込んで、それぞれが一番納得し、満足を得られる働き方・生き方・過ごし方を見つけるための努力をすることが最も大切かもしれません。家族みんなが笑顔になれる場所で、お互いの幸せを考えたときに、自然と家族がチームになっていくのだと思います。

(撮影/谷本結利)

徳倉康之
株式会社ファミーリエ 代表取締役社長
NPO法人ファザーリング・ジャパン 理事
合同会社OSアカデミア 共同代表
1979年生まれ、香川県出身。法政大学卒業後、約10年間大手日用雑貨メーカーで法人営業を担当。2009年に長男誕生後、共働きの妻とキャリアや働き方を相談し、8カ月の育児休業を取得する。その経験から、男性の働き方や女性のキャリア形成の難しさ、育児に関する様々な社会問題に気付き、自身の働き方・生き方の変化から家庭を重視し、効率的な働き方をすることに取り組み、業績にも連動することを経験。後に、次男・長女誕生時にもそれぞれ育児休業を取得。2011年NPO法人ファザーリング・ジャパン会員として参画し、その後同法人に転職。ファザーリング・ジャパン事務局長として講演活動の他、営業・広報・組織運営・行政協働案件・企業協働案件に携わる。2013年に同法人理事に就任、独立を契機に、故郷の香川県に移住。2015年に「働くカタチを創造する」企業、株式会社ファミーリエを創設した。国、自治体の各種委員を務めながら地域でも活動を続けている。