移住先選びは「スキルと地縁の掛け算」で

  

林田 都会での子育てには、保育園が足りなかったり、自然の少なさなど環境面に不満を感じたりして、移住やUターンを検討する若い世代が増えています。特に30~40代で検討している人が増えているそうです。下図は田舎暮らしやIJUターンをサポートする「ふるさと回帰支援センター」の利用者の推移ですが、年々20~30代が増えてきています。

 自然豊かな地方で子どもを伸び伸び育てたいけれど、両親が既に他界していたり、転勤族で「地元」と呼べる場所がなかったりする人もいます。そのような人が地方へ移住するのは難しくないでしょうか?

特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター(東京)センター利用者数の推移 <a href="http://www.furusatokaiki.net/wp/wp-content/uploads/2017/02/8fe84c8ab9b3a5c38c828d108c75dc43.pdf">http://www.furusatokaiki.net/wp/wp-content/uploads/2017/02/8fe84c8ab9b3a5c38c828d108c75dc43.pdf</a>
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徳倉 移住ありきではなく、まず「自分たち家族が輝ける場所」はどこなのかを、しっかり見定めることが重要だと思います。その場合、自然豊かな地方がいいなどの漠然とした希望だけでなく、自分たちのワークもライフも輝ける場所を見極めることが大切です。ポイントは、自分たちのスキルと移住先の“掛け算”をしてみることです。自分のスキルが活用できて、なんらかの「地縁」があるところであれば、自分たちの地元にこだわる必要もないと思います。「地縁」は、旅行先で行ってみてとても気に入ったところとか、仕事で一緒に組めそうな人がいるところとか、なんでもいいんです。

 私自身、0から1を生み出すのは得意ではありませんが、既にあるものを掛け合わせて、相乗効果を出すことは得意だと自負しています。ただ、それを都会でやっても競争相手が多過ぎる。でも香川だったら、そんな自分のスキルを最大限に生かせると思ったんです。

林田 今の時代、徳倉さんのようにどこにいても仕事ができるような気もする一方で、移住した先に仕事があるかどうかが一番不安だと思います。

徳倉 わが家の場合、妻は若いときに香川で研修医だったこともあり、人脈もあるので問題ないだろうと思っていました。勤務先を選ぶときも、夫婦で一緒に検討しながら子育てとの両立もできるような環境を整えました。

 私自身はFJの仕事を通じて、関東圏で推進していた「父親の家庭参画」や「働き方」を香川で推進する会社を自分で立ち上げようと決心し、そのつもりで準備していました。また、30代というまだ比較的若い年齢で戻ってきたので、地元でも歓迎されますし、新しい関係を作ることに対しておっくうにならなかったという点も大きかったですね。例えば60歳を超えての移住だと、なかなかそうはいかない面もあると思います。