ママ一人に育児、家事の負担がかかってしまう“ワンオペ”解消に向けたノウハウとして、様々なリソースと連携したマルチオペレーション型の「マルオペ育児」へのシフトを提案する本連載。前回までは家庭外との連携の話が中心でしたが、今回からは家族内の連携について考えていきます。その基盤となる夫婦間の「家事シェア」について、NPO法人tadaima! 代表理事の三木智有さんにお話を伺いました。

 前編では、「家事シェアとは何か」、また、家事シェアを推進するために三木さんがNPO法人を立ち上げるに至った経緯を中心にお伝えします。キーワードは、「負担と不満の両方を担い合う」と「家族のビジョン」です。

林田香織(左)と三木智有さん(右)

日本で唯一の「家事シェア研究家」

林田香織(以下、林田) 三木さんは、私が理事を務めるNPO法人ファザーリング・ジャパンの賛助会員でもいらっしゃいますね。最近ではイベントや企業の両立支援セミナーでもご一緒しています。まずは、自己紹介をお願いします。

三木智有さん(以下、敬称略) NPO法人tadaima!の代表理事の三木智有です。日本で唯一の「家事シェア研究家」を名乗っております。『10年後20年後も「ただいま!」と帰りたくなる家庭へ』をスローガンに、家族の家事シェアや、子育て家庭のための“モヨウ替えコンサルティング”などを行っています。家族は、妻と3歳の娘の3人家族。妻も産休・育休の取得や仕事と家庭の両立を支援するNPO法人を運営しており、“NPO夫婦”でもあります。

林田 自己紹介の中で既にいくつも気になるキーワードがありましたが(笑)、まずは「日本唯一の家事シェア研究家」について教えてもらえますか? 「家事シェア」とは、「家事分担」と何か違うのでしょうか?

三木 「シェア」という言葉には「共有」というニュアンスがありますよね。家事を誰か一人の仕事ではなく、「家族事」として捉えていこうという意味合いを「シェア」という言葉に込めています。また、家事・育児を単なる家庭内の仕事の分担と捉えるのではなく、家事・育児を通して家族の在り方や関わり方を考えるような、ノウハウよりも「人」というソフト面にフォーカスしたいという思いもあります。「家事シェア」は家族が幸せになるための一つのツールと考えてもらいたいですね。

林田 「家事シェア」という言葉には、深い意味と思いが込められているんですね。「分担」ではなく、「シェア」として発信することで、受け取る側にはどんな意識の違いが生まれるのでしょうか?

三木 「家事分担」は、例えばママが主に担っていたりする家事全般を、パートナーに“お願いする”ような形で、振り分けていくイメージですよね。一方、「家事シェア」は家事を“夫婦二人で担っている”イメージです。そうすると、家事の動線ややり方を考えるときも、「ママが動きやすい」という視点ではなく、「ママもパパも動きやすい」という視点になります。「分担」ではなく「シェア」と捉えることで、家族一人ひとりが自立して家事を行うことができるんです。

「家事分担」と「家事シェア」のイメージ
NPO法人tadaima!提供

次ページから読める内容

  • 家事は分担割合より「不満の解消」が大切
  • 子どもの成長に伴った悩みを解決する「モヨウ替え」
  • 育児の軸を「親の健康」に

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