全く考えていなかった2人目。まさかの自然妊娠

 長女が生まれてから、2人目については全く考えていませんでした。長女が1歳を過ぎて、会話をしたり、走ったりできるようになると、ますますかわいくて、楽しくて、毎日が充実していたからです。

 夫にもたくさん話しかけたり、「パパ」と呼びかけたりするようになって、夫も長女を溺愛するようになったので、2人目の入る隙なんてありませんでした(笑)。夫とも、「2人目は別にいいよね」と話していました。

 ところがある日、何となく体調がおかしいことに気付きました。

 生理は、長女が1歳で卒乳後、しばらくしてから再開していて、その頃は2カ月に一度くらいのペースで来るようになっていました。以前は全然生理が来ていなかったので、産前より改善はしていたものの、不順なことには変わりありません。治療も何もしないで子どもを授かるとは考えていませんでした。

 とりあえず今後のことを考えると、検査をしておいたほうがいいかもしれないと思い、お世話になった不妊治療専門のクリニックに連絡をしました。体の状態を話すと、「一度検査しましょう。念のため、自宅でも妊娠検査薬を使ってチェックしてみてください」と言われました。

 「(子どもは)できていないと思いますけど……」と答えつつ、自宅で検査してみました。結果は陰性。「やっぱりね」と思い、特に気にすることもなく、そのまま夫と長女と3人で旅行に行きました。

 旅行から帰宅し、病院に連絡をしてから一週間後、検査に行きました。そして、検査の結果が出ると言われた1時間後にもう一度受診。でも、ずっと待っていても、全然名前を呼ばれません。「これは、何か悪い結果だったのかも……?」と不安に思っていると、ようやく診察室に呼ばれました。

 そこで告げられたのは、「妊娠していますね」という言葉でした。

 状況がよく飲み込めず、「えっ? 私が?」という言葉が思わず口から漏れました。「はい。おめでとうございます」と言われて、「あ、これだ! 私が思い描いていた、病院に行って『おめでとうございます』って言われる、あのシチュエーションだ!」と、そのときようやく現実を認識することができたのです。

 あんなに赤ちゃんが欲しくて欲しくて、やっと授かって、「いつかもし2人目が欲しいと思ったときは、また治療をするんだろうな」と思っていたのに。自分でも信じられない“まさかの自然妊娠”でした

(構成/荒木晶子 撮影/鈴木愛子 企画/後藤美葉)

矢沢心 矢沢心
女優・タレント
1981年東京生まれ。1997年デビュー。
夫である魔裟斗さんは、日本人初のK-1世界王者として知られる。著書に『ベビ待ちゴコロの支え方』(主婦の友社)など。
日々の暮らしをつづったオフィシャルブログも人気。
「コロコロこころ」https://ameblo.jp/yazawa-shin/