長女が私を変えてくれた

 赤ちゃんのいる生活が始まってビックリしたのは、「子どもの成長って早いんだなぁ」ということでした。たくさん母乳を飲んだり、たくさん離乳食を食べたりしてほしい。どんどん大きくなってほしい。そう思っているのですが、一方で「もうこんなに大きくなってしまった」という気持ちも少しあって。親の気持ちって不思議なものですね。

 でも、それよりも驚いたのは、子どもと一緒に暮らしていくことによって、自分自身が変わったことです。

 長女を授かる前、夫と2人だったときは、家の中がとても静かだと感じたことがありました。もちろん、夫と2人の生活も大切なものでしたが、ここに子どもがいたら、きっとにぎやかなんだろうなと夢想していました。

 長女が生まれて、それは想像していた通りになりました。リビングで長女がゴロゴロしていて、そばで夫が見守っている。ただそれだけのことなのに、家の中に上からも横からも光が差しているように感じるんです。

 笑い声がしているわけではなかったので、「にぎやか」というのとは違ったかもしれません。けれど、私はその光景に深い感銘を受けました。そこに子どもが1人存在しているだけで、世界観が変わるんです。子どもが生まれてからは、常に笑顔でいられるようになり、イライラすることもなくなりました。

 子どもがいる空間って、こんなにあったかいんだ。このたあいのない、普通の日常こそが幸せなんだ。そこには、言葉では言い表せないほどの幸福感がありました。

 社会に出ていると、追われているとか、せかされていると感じたり、不安になったりすることもありますよね。子どもがいることで自分自身を見つめ直すことができるようになって、そういう気持ちを感じなくなったのだと思います。

 自分がこんなに穏やかな時間を過ごせるなんて、思ってもいませんでしたし、子どもにこんなに愛情をかけられる自分にもビックリしました。

 そういう満たされた時間は、すべてこの子がくれたんだなぁ。今まで生きてきて、感じたことがないような感情や、自分でも知らなかった自分に気付かせてくれたのがこの子なんだなぁ。長女と毎日過ごして、その成長を見ているうちに、そんなことを思うようになりました。