子どもを持つことで、男はより男らしくなれる

 次女が生まれたときも、長女のときと同じように「生まれたんだなー」というくらいの気持ちでした。でも、今になって、長女と次女が遊んでいる姿を見ていると、2人生まれてくれて本当に良かったなと思います。

 2人目不妊で相談を受けることもあるのですが、僕にとっては「1人から2人」より、「0人から1人」という違いのほうが大きかった。夫婦2人の生活と、子どもがいる3人での生活とは、全く違っていましたから。

 ただ、子どもが1人のときも楽しかったけど、2人いると、さらにその何倍も楽しいんですよね。もちろん、子どもがいけないことをして、叱ることも2倍、4倍になりましたが、かわいいから、そういうことも一瞬で忘れちゃう。どういう理由で叱ったかとか、後から考えても全然覚えていません。

 毎日の信頼関係があるから、子どものほうもどれだけ叱っても大丈夫。すぐに忘れてくれます。あんなに「子どもはすぐ汚すからイヤだ」「おむつ替えとか勘弁してくれ」と思っていた僕が、こんなに子煩悩になるなんて、自分でも思わなかったです。今は、小さな子どもが家に遊びに来ても、「おむつ替え? どうぞ、どうぞ」って言いますよ(笑)。2人目が生まれてからは、タバコもやめました。

 僕は、現役選手を引退してから、残りの人生は“長いヒマつぶし”だと思っていたんです。打ち込むものがなくなって、何をしたらいいのかも分からなくて、毎日がつまらなかった。灰色の人生でした。

 でも、子どもができて、急に人生がバラ色になったんです。今は子どもと色々な思い出を作ることが心底楽しい。僕は、子どもの存在に救われました。

 僕自身にも、責任感が生まれたと思います。現役時代はサポートされる側だった僕が、出産に立ち会い、育児に関わって、サポートする側になった。そのことで、人としても成長できたと思っています。

 昔、よく年配の人に「早く結婚しろ」って言われましたけど、その意味もようやく分かるようになりました。結婚すると、イヤなことがあっても逃げられなくなる。だから、精神的に強くなる。

 そして、子どもができると、責任感が芽生えて、さらに強くなる。男がより男らしくなるし、磨かれる。子どもが僕に、そういう機会を与えてくれたと思っています。