おしどり夫婦として知られる女優・タレントの矢沢心さんと、日本人初のK-1世界王者・格闘家の魔裟斗さん。2人は、5歳と3歳の2人の女の子のママとパパであり、不妊治療の経験者でもあります。

 ご夫婦一緒にお話を伺ってきた対談も、今回で3回目となりました。今回は、パパとママになってさらに仲が良いというお二人に、ふだんの生活の様子や夫婦がうまくいく秘訣について伺いました。

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夫には不妊治療のことをすべて分かってもらわなくてもいい

日経DUAL編集長 羽生祥子(以下、――) 魔裟斗さんも、不妊治療についてもうかなり詳しいのではないですか?

魔裟斗さん(以下、魔裟斗) うーん、どうだろう?

矢沢心さん(以下、矢沢) そういう話はあまり聞いていないと思います(笑)。普段も、私が話をしても右の耳から聞いて左の耳から抜けていく感じですね。私の話も長いので、だいたい聞き流されています。

魔裟斗 まあ、血の色がどうだとかってところまでは、知らなくてもいいのかなと。

矢沢 でも、そのグイグイ入ってこないところが、夫のいいところでもあるんです。「今回の血の色はどうだった?」と聞かれても、こっちも困る(笑)。私もそこを聞いてもらおうとは思っていなくて。そのために漢方の勉強をして、自分で月経のときの血の色をある程度判断できるようにしたんです。「こういう血の色のときは、血の巡りが悪い“瘀血(おけつ)”の状態だな」とか。

―― 全部知っていてほしいという女性もいると思います。だけど、矢沢さんの場合はすべて聞いてもらわなくてもいいということですね。

矢沢 相手に何をしてもらいたいか、ですよね。例えば、病院に一緒に来てもらいたいとします。そのためには何を言って、何を言わなくてもいいのかを考えます。

―― さすがですね。夫に言うことと言わないことを、事前に頭の中で整理してから話しているとは。

矢沢 うーん、でも、プロセスは聞いてもらいたいんですよ。最終的にはこうしてほしいということに至るまでを、最初から少しずつ段階を踏んで話していくんですけど、長いので聞いてもらえない。「で、結局何?」って言われちゃう(笑)。

魔裟斗 だって、結論は「病院に一緒に来て検査してほしい」ってことなら、それだけ言ってくれれば行くのに、と思うわけですよ。

矢沢 夫は「結論だけでいいじゃん」という考えで、それも分かるんです。でも、それじゃあ業務連絡みたいになっちゃうのが、私はイヤで。だから、プロセスをカットしないで話したいといつも思っているんです。

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