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不妊治療に悩む女性たちとお茶会を開催

―― 矢沢さんは、不妊治療をされている方を対象にした「お茶会」も開いていらっしゃいますね。

矢沢 はい。お茶会は2カ月に一度のペースで、これまでに5回ほど開いています(2018年2月時点)。最初は20代や30代など年齢を限定しただけで、特にテーマを決めたりはしませんでした。でも、回を重ねていくうちに、同じ悩みを持っている人同士のほうがお互い話しやすいのかもしれないと思い、今は「妊活のステップアップを考えている方」「体外受精・顕微授精をされている方」など、テーマを限定して参加者を募るようになりました。一人ひとりが自分のことをきちんとお話しできて、私もそれぞれの方にお答えできるように、ご参加いただく人も少人数にしました。

―― どうしてお茶会なのでしょうか?

矢沢 もちろん講演会などもお引き受けしていますが、それよりも一人ひとりの顔が見える少人数の場で、自分の口から思いを伝えたり、お話を聞いたりしたいという思いがありました。私自身が不妊治療をしていたときに求めていたことでもあるのですが、人にはなかなか言えないことを吐き出してスッキリしてもらう、そういう場にできたらと考えています。

―― 矢沢さんは、カウンセラーのようですね。

魔裟斗 いつもお茶会に参加する人たちには「前向きな気持ちになって帰ってほしい」と言ってるよね。

矢沢 20代女性でも、卵巣嚢腫で片方の卵巣を摘出したというような大変な思いをされた人もいて、そういう人たちは周りの20代と自分を比べて、引け目を感じています。「こんな私でいいのか」とか「夫は自分と別れて、他の女性と結婚して子どもを作ったほうが幸せなんじゃないか」とか。不妊治療をしていた当時の私が思っていたことと、同じ思いを抱いているんです。私はただ話を聞いてあげることしかできませんが、そういう気持ちを吐き出してもらって、少しでも元気に、前向きになって帰ってもらえたらと思って続けています。

―― そういう話は、女性同士でしか話せないですよね。

矢沢 女性同士というより、不妊治療を経験した者同士というのが大きいですね。同じ経験をしていない人には、心の奥底にある思いまでは話せないんです。言いづらいし、また無理に分かってもらおうとも思わないというか。自分はこうしたいという気持ちは固まっているのに、あと一歩が踏み出せない。誰かに一押ししてほしいけれど、周りにそういう人がいないと感じている。そうこうしているうちに、また今月も生理が来て、タイミングを逸してしまう。そういう現状に嫌気が差している人たちがたくさんいるんです。

魔裟斗 精神的に追いつめられるということだね。

矢沢 でも、本当に見なくちゃいけないのはそういうマイナスの気持ちじゃなくて、自分の体のことや、パートナーとの関係性だと思うんです。お茶会では、そういうこともお話しています。