5歳と4歳の子どもたちを育てながら、デジタルマーケティング会社で室長として働く多香実。仕事も子育ても満喫している今どきのワーママのようだが、実際は子育てをほぼ一人でやらなければならない“ワンオペ状態”だ。 桜が満開の4月。シングルマザーの美帆と、子連れで公園へ遊びにきた。離婚後、やはり経済的に苦しい様子の美帆。多香実に子どもの教材をゆずってくれと頼む。なりふりかまわずがんばる美帆の姿を見て、心から応援したいと感じる。
『さしすせその女たち』  今回の主な登場人物
 ◆米澤多香実(よねざわ たかみ) 39歳/ デジタルマーケティング会社「サンクルーリ」ソーシャルマーケティング部クライアントオペレーション室 室長
 ◆米澤秀介(よねざわ しゅうすけ) 40歳/食品メーカー営業職 課長
 ◆米澤杏莉(よねざわ あんり) 5歳/みゆき保育園年中クラス
 ◆米澤颯太(よねざわ そうた) 4歳/みゆき保育園年少クラス

◆美帆(みほ) 41歳/去年離婚したシングルマザー。エレクトロニクス関連会社の派遣社員。家庭教師のバイトも掛け持ちしている
◆響子(きょうこ) 5歳/みゆき保育園年中クラス
◆一真(かずま) 3歳/みゆき保育園2歳児クラス

 怒涛の3月をどうにか乗り切って、4月になった。この春から杏莉は年長、颯太は年中クラスとなる。まだまだ先が長いと思いながらも、新たに入園してきた、さらに年齢の低い子どもたちを目にすると、二人とも大きくなったなあと感慨深く感じた。

 春休み中はもちろん登園させたが、入園式の日は登園できないので、多香実は仕事を休んだ。前日に美帆から、みんなで公園でも行かない? という誘いの連絡があり、杏莉も颯太も喜んで行きたがった。

 お弁当はわたしが作っていくから、と以前、響子と一真を預かったときのお礼なのか、美帆にそう言われたので遠慮なくお願いすることにした。

 うららかな春の陽気だった。公園に着いたとたんに、子どもたちが走り出す。芝生が張られた大きな広場だ。

「あんまり遠くに行かないのよー」

 大きな声で呼んだが、走ることに夢中で誰も聞いていない。

「たのしそうだね」

「うん、子どもたちには広いところがいちばん」

 持ってきた敷物を敷いて座り、多香実と美帆は水筒のお茶を飲んだ。

<次のページからの内容>
・「新しい嫁とうまくいってないんじゃないかな」
・「離婚しなければよかった、なんて絶対言わない」
・浮気をする人は絶対にまた繰り返す
・「忙しくて笑うヒマないのよ」
・「英語の教材、古いのもらえないかな」

次ページから読める内容

  • 離婚しなければよかった、なんて絶対言わない
  • お金がなくても子どもの可能性はせばめたくない
  • 美帆は、なりふりかまわずがんばっている
  • 妻たちの「さしすせそ」

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