◆米澤秀介(よねざわ しゅうすけ) 40歳/食品メーカー営業職 課長
◆米澤杏莉(よねざわ あんり) 5歳/みゆき保育園年中クラス
◆米澤颯太(よねざわ そうた) 4歳/みゆき保育園年少クラス
◆峰岸ゆりか(みねぎし ゆりか) 29歳/「サンクルーリ」正社員。ソーシャルマーケティング部 クライアントオペレーション室。妊娠6カ月
◆竹下彩名(たけした あやな) 29歳/「サンクルーリ」アルバイト。ソーシャルマーケティング部 クライアントオペレーション室。独身で仕事ができるムードメーカー。
いつもより一時間早く退社し、病児保育所に颯太を迎えに行った。颯太は機嫌よく友達と遊んでいた。熱も上がらずに食欲もあったとのことで安心した。とはいえ、颯太を電車に乗せることはできず、杏莉の保育園の最寄り駅まではタクシーを使った。駐輪場で自転車を拾い、颯太を乗せて保育園に向かう。
杏莉は元気だった。颯太のインフルエンザはうつっていないようだが、まだ油断はできない。帰宅してすぐに食事を済ませ、風呂に入れ、一分でも早くと布団に促す。寝る場所はまだ別々のほうがいいだろう。杏莉にがんばってもらい、一人で寝室にいるよう頼んで、先に颯太を寝かしつけた。颯太の寝息が聞こえたところで、いそいで寝室に行くと杏莉はすでに眠っていた。
「ありがとう、杏莉。颯太のインフルエンザがすっかり治ったらたくさん遊ぼうね」
寝ている杏莉に、多香実は小さく声をかけた。
洗濯物を干し終わったところで、秀介が帰ってきた。
「ご飯出してよ」
食べてきたのではなかったのか。今週はずっと接待だと言っていたのにと思いながら、残り物を食卓に出す。そしてふと、去年のことを思い出した。
・「送り迎えは分担するって約束だったよね」
・ゆりかが妊娠高血圧症で入院!
・「室長、ちょっといいですか」