◆米澤秀介(よねざわ しゅうすけ) 40歳/食品メーカー営業職 課長
◆米澤杏莉(よねざわ あんり) みゆき保育園年長クラス
◆米澤颯太(よねざわ そうた) みゆき保育園年中クラス
◆竹下彩名(たけした あやな) 29歳/「サンクルーリ」アルバイト。ソーシャルマーケティング部 クライアントオペレーション室。独身で仕事ができるムードメーカー。峰岸ゆりかと同じ部署で働いていた。
◆秋山千恵(あきやま ちえ) 39歳/多肉植物の栽培・販売店パート勤務
◆美帆(みほ) 41歳/去年離婚したシングルマザー。エレクトロニクス関連会社の派遣社員。家庭教師のバイトも掛け持ちしている。
六月に入った。新しく入ったアルバイトの2人は早々に業務に慣れ、着実に戦力になっている。彩名が携わったアパレル関係の評判はとてもよく、彩名指定での仕事が来るようになった。
多香実は彩名を呼び出して、正社員への登用について打診してみた。彩名が社員になってくれたら、とても心強い。
「ありがとうございます。でもわたし、今のままでいいです」
彩名の返答に、多香実は驚いた。まさか断られるとは思っていなかった。
「理由を聞いてもいい?」
「とてもうれしくて光栄なお誘いなんですけど、うーん、やっぱり社員さんは大変だなと思ったんです。それに、サンクルーリは時給もいいし」
確かにうちの会社はアルバイトの時給がいい。保障はないが、残業代を含めれば正社員の給与に届く月もあるだろう。
「わたし、今の仕事が大好きでやりがいがあるんですけど、結婚してからも続けられるかどうかわからなくて」
「結婚する予定があるの?」
「はい、来年ぐらいにはと考えています」
「そうなの。それはおめでたいわ」
「あはは。なーんて、そのときになったら、どうなるかわからないですけどね」
彩名が明るく笑う。
「わたし、子どもが欲しいんです。子どもが大好きなんです」
意外だった。その逆なのでは、と勝手に思っていた。
・ 「美帆ちゃん、なんだかきれいになったみたい」
・ 働き方はいくらでもある、人それぞれの道がある
・ 「いざとなったら、離婚届一枚をだせばいい」
・ 新たな「さしすせそ」は、so happy!