ママの世界ではすっかり多様化が進んでいる

 女にはそれがありました。男たちから見たら中田さんの言うように、頭の中に作り上げた理想の夫像と実際の夫を比べてこぼす非生産的な営みだったとしても、体験や感情を言語化してシェアして実践してフィードバックして…という極めて私的で血の滲むような肌身の学問をしながら、私たちは何に苦しんでいるのか?ということを考え続けて来ました。

 男たちは周回遅れです。育児に手を染めたばかりのパパがついつい張り切ってスタイリッシュに着飾り、『OCEANS』の父子パパラッチページに載ってしまったり、形から入って高価なパパバッグを買ってしまったりするのは、いずれも女たちが『VERY』が創刊された20数年前に通った茨の道。ママの世界は、あくまでも高みを目指す求道者もいれば、夢から覚めて現実路線に戻った人もいて、すっかり多様化が進んでいます。

 しかし男たちは、何しろ今が「基盤のある俺はかっこいい」の黎明期なのです。ともするとパーフェクトなイクメンであらねば!とか、仕事もできるしイケてるパパでもある俺(意識低い男どもとは違うんだよね)的な不毛な競争に血眼になりがちな初心者たちに必要なのは、ズバリ一刻も早く身の丈を知ること! そして仲間を作ることです。最初はゆるーく連帯、遠くで共感、くらいでいいから。

 そして時には白旗を上げて助けを求め、時には狼煙を上げて仲間を募り、時には膝詰で妻と話し合い、時にはやり場のない思いを仲間とカフェで吐露し合い、相変わらずお国の標準世帯は「モーレツサラリーマンと専業主婦」という、まるきり20世紀レガシー仕様のままでこの大共働き時代に突入したニッポンで、仕事と育児の両立という無茶振りをいかにしてこなすかという難行にだな、手に手を取って挑むのですよ。会社も世間もお役所もいい加減OS入れ替えようぜ!と声高らかに叫びながら。

 愚痴ってもいい、くじけてもいい。そうやって七転八倒しながら、みんなそれぞれのやり方を模索しているのだから。でもね、一人きりで抱えちゃダメです。それはとってもつらいから。