読みましたか? 「DUAL世代の夫婦道」。夫婦として「幸せ」が75.9パーセント、この先もずっと「連れ添いたい」が75.3パーセント。産後クライシスやらセックスレスやらワンオペ育児やらで問題山積のはずのDUAL読者たちですが、なんと麗しい夫婦愛。編集部はこの結果が相当意外だったようで、記事にもその動揺がにじんでいます。

 私も10年前だったら迷うことなく「幸せ!」「連れ添いたい!」と回答していたことでしょう。共に働き共に育てるパートナーとして夫以上の人はあり得ないと思っていたし、配偶者を悪く言う人を軽蔑していました。仕事のしんどさも育児のしんどさもシェアできる戦友として、彼は心の支えでした。

 だけど、それも二人が「共に働き、共に育てる」という関係を維持できていたから。夫が仕事をやめ、子どもたちも大きくなってくると、夫婦を密着させていた膠(にかわ)が剥がれ、重しが外れて、地獄の釜の蓋が開いたのです…。DUALの夏、怪談・夫婦道。お化けが出たら、どうすればいいかのお話。

深い深い井戸へと葬った夫への怨念

 以前も書きましたが、夫は最初の産後クライシスのときに人として最低の行動をとったため、私の夫に対する信頼と尊敬はすべて失われました(「小島慶子 続・ミドルエイジクライシス! お正月編」)。こんな男と知っていれば、絶対に結婚しなかった…なのに子まで成してしまって…ううう、うらめしやああ。悔し涙に暮れながら離婚届を書いたものの、幼子を抱えてシングルマザーになる決心はつきませんでした。この子を育てるためには、人手とお金が必要。それを提供してくれるのは夫しかいない。今はとにかく、この子と生きねば。そこで怒りを封印し、うらめしやーの怨念を心の底の深い深い井戸に葬ったのです。

 以後はとにかく仲良し夫婦にならなくちゃと必死の努力。高価な下着を買い込んでご奉仕し、家の中をきれいに整え、親戚にも好かれるようできたヨメを演じ、二人目にも恵まれ、息子たちの前では「パパはヒーローね」と呪文のように唱える毎日でした。

 で、実際幸せでもあったのです。子どもたちはめちゃくちゃ可愛かったし、彼は育児熱心な父親だったから。親としての幸せを噛みしめるたび「この子たちは私の卵子と彼の精子が出会って誕生した。つまりあの男なしではこの子たちに会えなかった。だから私は彼と結婚して幸せなのである!」と自分に言い聞かせていました。そうするうちに、井戸に閉じ込めたうらめしやーはすっかりおとなしくなって、成仏したようでした。

珍しく風邪を引いた夫が、長男が夕食を作ってくれたと喜んで送ってきた写真。高1にして、すでに料理の腕も心がけも母親よりも上のステージに達したようです…
珍しく風邪を引いた夫が、長男が夕食を作ってくれたと喜んで送ってきた写真。高1にして、すでに料理の腕も心がけも母親よりも上のステージに達したようです…