IKEAで一家団欒で食事なんて、あまりに幸せで怖い!

 保育園の建設計画に反対したり、子どもの声がうるさいという人は、もしかしたら他者と濃密に交わる生活と縁遠くなっている人なのかもしれないと、ふと思った。私だって3週間一人暮らしをした後は、家族でいることに慣れるのに少し時間がかかる。子どもと一緒にいることは、とっても幸せだけど、とってもエネルギーを使うのだ。

 加えて私は幸せ恐怖症である。いつも家族の誰かが怒っていた家で育った身としては、自分たち一家4人が能天気にIKEAでミートボールなんか食べているのをふと俯瞰すると、あんまり幸せで怖くなる。こんなの幻なんじゃないかと、と急に不安になるのだ。もっと屈託なく、幸せに浸れればいいのに。

子どもは、この瞬間を生きている私に引き戻してくれる

 そんなことを思いながら帰りの車の中でどんより反省していると、長男が窓を開けて「星がきれいだよ」と言った。「ほんとだー」と風に吹かれる次男。夜空を見上げると、澄んだ空に光る星々と、白く煙る天の川が見えた。

 過去にこだわり、未来に怯える私をいつも現在に引き戻すのは子どもたちだ。

 子どもと暮らすということは、評価や憶測から自由になって、今この瞬間の喜怒哀楽を生きるということなのだろう。星が散りばめられた夜空は、隣家の庭のカオスに似ていた。