子どものやることなすことすべてに口出ししたり、手出ししたりしていませんか? よかれと思ってやっているかもしれませんが、実はそれこそが子どもの成長する機会を奪い、自立して生きていく力を育むことの阻害要因になっているかもしれないのです。

 そこで、本特集では、子どもに対する過干渉育児を「カーリング育児」と定義し、そこから脱却するための様々なノウハウをご紹介。5回目の今回は、第2回(『嫌われる勇気』著者「“見守る勇気”で親も楽に」)と第3回(“ママと長女”は要注意 きょうだい育児もリスクが)で紹介した「見守り子育て」の手法を編集部員が自分自身の子育てに取り入れ、1カ月間実践した結果をリポートします。

【先回りし過ぎ? これからは「カーリング→見守り」育児 特集】
(1) 「過干渉育児」の恐ろしい弊害 子育ては根気が一番
(2)  『嫌われる勇気』著者 “見守る勇気”で親も楽に
(3) “ママと長女”は要注意 きょうだい育児もリスクが
(4) 子育ても部下育ても原則は同じ「信じて、待つ」
(5) 編集部実践! カーリングママが“見守り”ママへ ←今回はココ
(6) 白井健三を育てた極意「手を離しても心は離さない」

超マイペースの長女にかかりきりの日々

 編集部員Aの子どもは6歳と3歳の保育園児の女子2人。「女の子」と聞くと、それだけで「女の子はおとなしいから、子育ては楽でしょう。いいわね~」などと言われることが多いのですが、わが家の女子2人は非常に活発で、「おとなしい」という形容詞とはかけ離れた性格です。

 それに加えて6歳の長女はとてもマイペースで、何かやりたいことがあったら、周囲の音も聞こえないくらいに集中するタイプ。それはそれで長所でもあるかもしれませんが、時間をあまり気にせず、毎朝の着替えや保育園の準備も自分からやろうとせず、いつもグズグズして時間切れになるので、母親である私が先回りして、着替えを出し(でも、『これイヤ! 違うのが着たい』と、たいていは拒否される)、「早く着替えなさい!」と5回以上繰り返し、引きずるように洗面所に連れて行って大急ぎで髪の毛を結って(何度もやり直しをさせられる)、「早く玄関に行って! 早く靴を履いて! 早く! 早く!」と急かしまくり、何とか玄関から送り出し(送り担当のパパに託し)た後は、ぐったりとソファに座り込む、といった毎日でした。

 一事が万事、この調子で、子どもに非常に手がかかり、常に子どもを叱り続けているようなストレスフルな日々。もっと丁寧に長女と接し、自分のことを自分でちゃんとできる子になるように上手に促したい、と常々思ってはいたものの、3歳次女もそれなりに手がかかるので、長女とじっくり向き合う時間はなかなかとれず、結果、「私がやってしまったほうが早い!」と、カーリングしてしまう毎日でした

 長女の側もストレスが募り、最近では、「ママいっつもおこってばっかり! ママのおはなしなんてきかないもん!」と、私が何か言おうとすると耳を塞いでしまうように。すべてが悪循環になりつつあるのを感じ、来年4月の小学校入学を前に、「このままではマズイ!」と危機感を抱いていました

 そんな「カーリングママ」脱却を目指し、大ベストセラー『嫌われる勇気』著者の岸見一郎さんに伝授していただいたアドラー心理学の「見守り子育て」( 第2回記事参照)と、明治大学文学部教授の諸富祥彦さんの「脱過干渉育児のノウハウ」(第3回記事 参照)を実生活に取り入れることに。10月半ばから「見守り子育て」生活をスタートさせました。

 実は、最初から劇的な効果を期待していた訳ではなく、「少しでも状況が改善したらいいな」程度に思っていたのですが、何と初日から確かな手応えを感じ、1カ月経つころには、長女との関係が大きく改善! 長女が「やるべきことを自分からやる」ことが増え、夫からも「〇〇(長女の名前)、何かすごく成長したんじゃない?」と言われるまでに。

 典型的な「カーリングママ」だった私が、「見守りママ」に変わっていくまでの一部始終を次ページからお伝えします。

<次のページからの内容>
● 初日は「NGワード」を連発
● 1日の終わりに修羅場到来するも…
● 「ありがとう」を言い続けたら、長女の顔つきが変化
● 「子どもたちを赤ちゃん扱いしていた」ことに気付いた出来事
● 子どもが「指示待ち」から脱却、レジリエンスも高まった