日経DUALでは「待ったなしの少子化問題」と、内閣府も推進する「ワーク・ライフ・バランスを保ちながら生産性高く働くための働き方改革」という2つの視点で優秀な企業と自治体を応援する取り組みとして、「共働き子育てしやすい企業&街グランプリ2017」調査を実施し、12月1日(金)、東京都港区の会場にて、「共働き子育てしやすい企業&自治体2017」の表彰式とシンポジウムを開催しました。【共働き子育てしやすい企業ランキング特集】第4回となるこの記事では、受賞企業と受賞自治体のキーパーソンを迎えて行われたシンポジウムの前半を紹介します。シンポジウム登壇者は下記の通りです。

・共働き子育てしやすい企業2017グランプリ
SCSK 人事グループ・副グループ長・小林良成さん

・共働き子育てしやすい街グランプリ2017東京編
豊島区 区長 高野之夫さん

・共働き子育てしやすい街グランプリ2017全国編
松戸市 市長 本郷谷健次さん

・企業グランプリの審査員
東レ経営研究所・上席シニアコンサルタント/NPO法人ファザーリング・ジャパン理事 塚越学さん

・モデレーター
日経DUAL編集長 羽生祥子

【共働き子育てしやすい企業ランキング特集】
第1回 「共働き子育てしやすい企業2017」50社発表!
第2回 「共働き子育てしやすい企業2017」全質問項目
第3回 「共働き子育てしやすい企業&街2017」表彰式
第4回 ホワイト企業SCSK 私たち、前はブラックでした ←今回はココ
第5回 豊島区 消滅可能性都市から女性にやさしい街へ
第6回 SCSK 残業しなくても一律残業代をもらえる理由
第7回 丸井が追い求める「ワーキング・インクルージョン」
第8回 ピジョン 経営理念は「愛」 従業員が一番大事
第9回 「男性育休・残業時間・有休取得率」優秀企業リスト

共働き子育て世帯に必要なのは「見通しのある働き方」


パネラーは、SCSKの人事グループ・副グループ長の小林さん、豊島区区長の高野さん、松戸市市長の本郷谷さん、審査員を務めた、東レ経営研究所の上席シニアコンサルタントの塚越学さん。
パネラーは、SCSKの人事グループ・副グループ長の小林さん、豊島区区長の高野さん、松戸市市長の本郷谷さん、審査員を務めた、東レ経営研究所の上席シニアコンサルタントの塚越学さん。

 シンポジウムは、日経DUAL編集長の羽生祥子による「共働き子育てしやすい企業グランプリ」の評価ポイントの説明で始まりました。

モデレーターを務めた日経DUAL編集長の羽生祥子
モデレーターを務めた日経DUAL編集長の羽生祥子

羽生 DUALの13項目の評価ポイントのうち、特に注目した指標は4つあります。まずは、男性の育休取得率。去年は、「1日だけ取得して実は家で仕事してた」というような“なんちゃって育休”も多かったようですが、今年は日数も伸びています。今後は、男性育休の取得率と日数で、ランキング上位の差がついてくるのではないかと思います。

 2つ目は両立支援です。本人と人事の面談は当然として、そこに配偶者や上司を加えた4者面談をやっている企業もありますね。両立支援の取り組みに家族を巻き込んでいるかどうか、などを見ました。

 3つ目は評価制度です。「時間当たりの生産性」を社員の人事評価に入れている企業は高得点になりました。最後は、リモートワーク。こちらは「制度を導入した」ぐらいでは、もはや「イロハのイ」で、子育て中の社員のみならず、理由を問わず利用率が上がっているかどうか。この辺りに差が出ました。審査員を務められた塚越さん、いかがでしょうか。

塚越さん(以下、敬称略) 男性育休の取得率は、一つの大きな指標になります。その企業の、男女役割分業に対する意識が、男性育休取得率の差に表れると思います。あと、共働き子育て世帯にとって重要な点は、見通しのある働き方ができるのかどうか。「子育て」は見通しが立ちにくいものなので、せめて仕事は見通しが立つと助かりますよね。労働時間の長短、労働する場所や時間の柔軟性がポイントとなります。

SCSKは日本の企業でまれに見る成功例

企業グランプリの審査員を務めた東レ経営研究所・上席シニアコンサルタント/NPO法人ファザーリング・ジャパン理事の塚越学さん
企業グランプリの審査員を務めた東レ経営研究所・上席シニアコンサルタント/NPO法人ファザーリング・ジャパン理事の塚越学さん

羽生 見事グランプリに輝いたSCSKの講評をお願いします。

塚越 SCSKは、働き方改革の分野ではよく知られた先進的企業です。その先進的企業が、両立支援や女性活躍推進の分野でも、いよいよ実績を上げてきたなという印象です。ほかの多くの企業でよく見られるのは、まず女性活躍推進や子育て支援、介護支援という課題ありきで、それを解決するために働き方改革をする、というパターン。この方法では、受益者以外の方々の働き方改革が進みづらいというケースがよく見られます。

 制度があっても実際は激務で制度が使いづらい、受益者が増えて上司や周囲の負担になってしまう、そういった事例はよくあります。ところがSCSKは、全社員の働き方改革をメーンで進め、その結果、両立支援の実績も上げてきている。日本の企業でまれに見る成功例といえます。

塚越 数字を見てみると、2012年度と比べて実総労働時間を190時間削減しながら業績は好調。男性の育休取得率も83%と高い。取得日数3日以下が7割を占めるのは、ただ一つ残念な点ですが、今後は取得期間が多様になるといいなと思います。

 女性の産休前の面談実施率はほぼ100%、職場復帰セミナーの参加率は約80%。特に驚きは有給休暇取得率ですね。管理職も非管理職も共に9割を超えています。管理職のパーセンテージがここまで高いのは珍しいですね。職場全体の働き方のマネジメントの土台をしっかり作って、その上で両立を支援すればみんな活躍できるでしょう、という考え方が非常によいですね。

<次のページからの内容>
● 「私たち、ブラックでした」
● 残業しなくても残業代をもらえるって本当ですか
● 丸井社内に根付いた「文化」とは
● 社員がジレンマに陥らないピジョンの施策
● 新トレンド「夕ごはんサービス」と「有休トラベル」とは!?

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